2021年7月25日

ニッタ
Namdプロジェクトで受賞

日本複合材料学会より「技術賞」

ニッタ(石切山靖順社長)は、同社が手掛ける「Namd(エヌアムド)プロジェクト」において、日本複合材料学会(荻原慎二理事長、以下、JSCM)から、2021年度第31回学会賞「技術賞」を受賞した。受賞対象技術は「CF表面へのCNT複合化技術の開発とその製造技術」。6月15日には、日本複合材料学会受賞式典がウェブを通じて執り行われ、同社では受賞者講演も行った。

Namd技術は、同社独自のCNT(カーボンナノチューブ)分散技術と炭素繊維複合技術で、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)にCNTを複合させる手法において、マトリクス樹脂を使うことなく、CF(炭素繊維)表面にCNTに付着させる技術を開発。通常CFの引抜成型の断面観察を行うと、CFが密になっている部分と、樹脂リッチな部分が存在している。2G-Namdでは、CF-CF間をCNT層によって架橋されたような状態になっていることから、CFが一定の距離を保ち、均一配置された複合材料として新たなベネフィットを生み出す。

通常のCFRPでは、樹脂とCFの弾性率の差が大きいことから、樹脂とCFの界面に応力が集中し、破壊起点としての状態を引き起こす確率が上昇。Namd糸を用いることによって、樹脂とCF界面に中間の弾性率であるCNT+樹脂層(厚みを持った界面層)ができることから、応力集中を緩和することができ、この課題を解決した。

JSCMは、75年の創設以来、複合材料(コンポジット・マテリアルズ)に関する最新の研究・開発に関する成果の発表、問題解決に向けた情報交換などを通じて、複合材料に関する学術の発展、技術の向上に寄与、普及・啓もう活動に取り組んできた。今回、同社が受けた技術賞は、最近の数年間で複合材料工学における基礎技術の進歩、応用開発において功績があり、将来において一層の発展が期待される技術開発に対する可能性が認められて授与された。受賞対象技術によって、CFRPの炭素繊維/樹脂界面の改質を、繊維側アプローチで工業化可能な手法で行われることで、今後の用途拡大が期待されており、スポーツ用品への実用化にまで結び付けている実績などが高く評価された。

同社では今後、CFRP材料においてNamd技術の特性を生かし、国内外のスポーツ分野や産業用途分野などにおけるアプリケーションへの新な展開に貢献していく。