2021年9月15日

住友化学
生産体制グローバルに強化

最先端プロセス向け半導体フォトレジスト

住友化学(岩田圭一社長)はこのほど、最先端プロセス向けフォトレジストの生産体制を強化することとし、大阪工場(大阪市此花区)において、液浸ArF(フッ化アルゴン)、EUV(極端紫外線)フォトレジストの製造ラインを増設するほか、同社100%子会社で半導体用プロセスケミカル、フォトレジスト、光学機能性フィルム、カラーフィルター、タッチセンサーなどの研究、製造、販売を手掛けている東友ファインケム(本社・韓国京畿道平澤市、代表・羅仁鎬氏)の益山工場(韓国全羅北道益山市)に液浸ArFフォトレジストの製造プラントを新設する。稼働開始は、大阪工場は2023年度上期、東友ファインケムは24年度上期に予定されている。

フォトレジストは、半導体製造プロセスにおける回路パターン形成に使用される感光性樹脂。同社は、各種ファインケミカル事業で培った有機合成技術をベースに高度な製品設計・評価技術を確立し、大阪工場を中核にタイムリーな顧客対応力などを生かして事業を拡大してきた。その中でも、微細加工を要する最先端プロセスで主として使用される液浸ArFフォトレジストは、性能優位性と品質安定性によって世界的に高いシェアを占めている。東友ファインケムは、線幅の広いプロセス向けのi線・KrF(フッ化クリプトン)フォトレジストの製造拠点として、20年以上にわたって生産活動を継続している。

同社は19年度以降、第5世代移動通信システム(5G)の本格商用化などを背景とした最先端プロセス向けフォトレジストの需要拡大を見据え、大阪工場で段階的な生産能力増強やクリーンルームの建設などによる開発・評価体制の強化を進めてきた。半導体市場は、データ通信の高速化や大容量化によって今後も継続的な拡大が見込まれることから、今回、大阪工場での製造ライン増設に加え、事業継続計画(BCP)の観点も踏まえて、東友ファインケムへの製造プラントの新設を決定した。これらにより、同社グループの最先端プロセス向けフォトレジストの生産能力は、24年度に19年度比で約2・5倍となる。

同社では今後も、おう盛な半導体需要にこたえるべく機動的かつ積極的な供給体制の整備を進め、市場のニーズに沿った高品質な製品を安定供給することで、フォトレジスト事業の規模拡大を目指す。