2021年10月5日

帝人
自動車向け複合成形材料事業統合

TATの強化・拡大図る

帝人(鈴木純社長)は、将来の収益源育成(ストラテジック・フォーカス)としてグローバル展開している自動車向け複合成形材料事業を統合し、事業ブランド「テイジン・オートモーティブ・テクノロジーズ」(以下、TAT)としてさらなる強化・拡大を図る。同社グループは2020年度からの3年間を実行期間とした中期経営計画2020―2022「ALWAYS EVOLVING」において、マルチマテリアル化による高付加価値用途への展開強化を目標として設定。自動車向け複合成形材料における米国でのトップシェア拡大と、欧州・中国市場での展開の強化・拡大を推進している。こうした状況にあって地域を超えたグループ内の情報・技術の一体化などにより、総合力を最大限に発揮する目的から関連する事業および機能を統合し、グローバルに展開していく。

同社の自動車向け複合成形材料事業への取り組みとしては、17年に北米最大の自動車向け複合材料部品メーカーであるコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(以下、CSP)を買収、18年にポルトガルのイナパル・プラスティコ(以下、イナパル)、19年にチェコのベネット・オートモーティブ(以下、ベネット)を買収したほか、昨年にはCSPの中国合弁であるCSPビクトールを子会社化し、世界各地に自動車向け複合成形材料事業の拠点を構築してきた。

帝人では、グローバルティア1サプライヤーとして自動車メーカーからの要求特性に対応する目的から、次世代の環境配慮型の自動車に求められる軽量で高強度な部品開発を推進。昨年は自動車向け複合成形材料のデザイン、設計、プロトタイピング、評価を一気通貫で担うテクニカルセンターとしてドイツ・ブッパタール市にテイジン・オートモーティブ・センター・ヨーロッパ(以下、TACE)、先端技術開発拠点として米国・ミシガン州にアドバンスド・テクノロジー・センター(以下、ATC)を開設し、軽量性や強度に加えデザイン、生産性、コスト効率といった顧客ニーズに対するマルチマテリアルでのソリューション提案力を強化している。

自動車向け複合成形材料のグローバル事業ブランドとして立ち上げたTATにおいては、グローバルに統合された事業ブランドの確立の下、帝人がこれまで欧州、米州、中国、日本において展開し、強化を進めてきた自動車向け複合成形材料事業を一体化して運営を行っていく。これにより、関連する世界29拠点、社員約5400人に及ぶグループ会社ならびに組織が一つのグローバル事業ブランドの下に結束し、事業体制を強化する。加えて、ライフサイクル全体における環境負荷の低減を実現する自動車部品の技術開発、生産、供給を展開していく。これに伴い米国の事業会社であるCSP、ヨーロッパの事業会社であるイナパル、ベネットおよびTACE、中国の事業会社であるCSPビクトールもTATへと社名変更を行う予定。

日本国内における帝人の自動車向け複合成形材料事業を業務内容とする事業所や部署については社名変更を行わず、事業ブランドについてはTATとして展開していく。

今後、TATは自動車向け複合成形材料事業の各グループ会社や組織が培ってきた素材に関する専門知識や自動車向けの設計・エンジニアリング能力を融合、自動車業界が求める軽量、安全でエネルギー効率や耐久性に優れた部品をグローバルに提供することができる世界でもまれなリーディングカンパニーとして確固たる地位を確立していく。また自動車業界の素材から加工、成形、リサイクルに至るまでバリューチェーン全体のライフサイクルにおけるCO2排出量削減に向けた技術開発や、さまざまな取り組みにも注力していく。

帝人グループは、環境配慮型の自動車の実現に向けたさまざまな要求に対応できる存在へと進化していくことにより、30年近傍には、自動車向け複合材料製品事業の売り上げを20億米㌦規模へと拡大していく。