2021年10月5日

【ホース・チューブ・継手特集】ユーシー産業
エバフリー大幅伸長

エバフリー大幅伸長
市場占有率の拡大目指す

ユーシー産業の今年度の上半期の実績については売上高が前年同期比110%、計画比で103%となった。前年度(2020年度)が19年度比で3%減とマイナスで推移したが、今上半期の実績では19年度との比較でも6・5%増となっており、マイナス分を巻き返して順調な伸びを果たした。コロナ禍の影響によって、今上半期において換気に関連する製品の販売が伸びたことが最大の好調要因。前年度の上半期では、コロナ禍の影響によって大幅に制限された各家電の生産量が21年度は、ほぼ通常に戻ったことも受注量の伸びにつながった。上半期以降の状況としては例年、7月が一番の繁忙月となっていたが、半導体不足の影響により、各家電向け製品の受注計画が大幅にずれ込み、同社の受注も大きな影響を受けた。8月は例年、家電向け受注が伸び悩む時期ながら、その他分野の受注が順調に推移したことから、8月の実績は前年同月比108%、予算比でも101%を維持した。

最近では特に原材料費の高騰が著しく、人件費や運送費の上昇などにより、製造コストに対する圧迫が深刻化。同社が進めている国産化へのシフトという事業方針によって国内における生産量も増加。人員増強による人件費増は避けられない状況ながら、同社では自動化・合理化を進めることによって、販売価格に反映させない社内努力を続けている。しかしながら搬送費・原料費の高騰に対してはカバーし切れない状況にまで陥っており「社内努力で賄えないレベルに達した時点で、自社ブランド品の値上げを検討していかざるを得ない」(永𠮷昭二社長)としている。

ウィズコロナの事業環境にあって、訪問による直接的な営業活動が難しい状況にある中、同社の過去の実績が信頼性という強みとなって、今期は「福島原発向け」と「東北新幹線整備事業」の大型物件を受注、「エバフリーBFP(屋外用)」の需要量は1・5倍にまで拡大した。

空調機器分野の新規製品の立ち上げ状況については、来シーズン向けに既に1品種が立ち上げられており、年内にも新品種が上市される予定。来期にも1品番の追加が計画されている。新たなドレンホースNDH型用接続パーツ「VP管同径・異径ジョイント」の各パーツの販売量はほぼ前年並みとなっており、NDHの動きと同様の結果を収めた。国内生産に切り替えた断熱ドレンホースの「NDH」シリーズについては、国産化によるメリットとして、本格需要シーズンに向けての大幅在庫を持つことなく安定供給を実現。欠品のリスクも大幅に削減され、市場の変化にもスムーズな対応が可能となり、繁忙期においても十分な対応を行うことができる。同様に国産化したYDHにおいても大きく前年を上回った。

エバフリーBFP(屋外用)は、大型物件もあって前年比150%近い実績となり、埋設用CFPについても同125%と大きく伸長した。BFPに関しては、道路等橋りょう部における使用率が多いが、その他ホテル・学校・店舗などの屋外排水材、トンネル工事における使用実績も伸長、当初に想定されていなかった多くの現場で使用されている。今後も認知度が高まるにつれ、採用分野は一段と広がるものと見られていることから、現状の規格を変えることなく、少しでも広い用途での利用が促進されるよう、情報発信に従来以上に力を注ぐ。その一方で、ニーズに対してはち密に対応し、それに応じた派生製品の開発も視野に入れた展開で事業を進める。

今期、換気機能付き空調機器市場において出荷量が大幅に増加。来期に向けても展開機種が増加する見通しで、出荷量も一段と伸びる予測が立っていることから、同社としては安定供給に向けた設備強化およびライン整備を行うことで市場の大きな動きに対応する。換気機能付き住宅のニーズも高まりを見せており、それに伴って同社の住宅向けダクトの要望の高まりも予想されることから、この分野においても、安定供給に向けた設備強化を実施している。

空調施工向け商材においては、来期2月に4年ぶりに開催される空調展示会「HVAC&R JAPAN 2022」に出展。同社では、その会場において新製品の発表を計画しており、来期に販売を開始することで売り上げ増につなげる。

今後の事業姿勢については、自社ブランド品の空調施工向けは、明確な差別化を図り続けることで、市場占有率の拡大を目指す。エバフリーシリーズ関連においても派生製品の拡充を図ることによって市場の拡大を図る方針で、それに向けた開発を進めていく。OEM品においても、各ユーザーが求める特色を備えた差別化を付与し、VA提案を行い続けるための製品開発に力を注ぐことで、獲得した市場の維持に加え、顧客の次の製品開発においても、引き続き指名採用されるモノづくりの環境を整えていく。