2021年10月5日

【ホース・チューブ・継手特集】ニッタ
メリット提案し拡販

多様な流体移送分野開拓

ニッタが手掛けるホース・チューブ事業(オート営業除く)の2021年3月期第1四半期(4―6月)の業績は前年同期比23%増となった。一般産業用は、国内および海外ともに好調を維持しており、売上高は前年同期に対して大きく伸ばした。特に半導体製造装置、ミニショベルの分野における受注は高水準を維持しており、その他の業種についても、おおむね好調な状態が継続。顧客の部品調達の問題などに起因した生産計画修正といった懸念材料はあるものの、現在の好調さは維持されるものと予想を立てている。特に半導体分野については、デジタルトランスフォーメーションの進展により、各種半導体デバイス需要は拡大する見通しにあり、同社としても、今後も引き続き成長分野として期待の度合いを高めている。

現在、新型コロナウイルスの第5波について、落ち着く兆候を見せているものの、ウィズコロナという状況にあって予断が許されない状態に置かれていることから、これまで培ってきたリモートにおける仕事の進め方のノウハウは依然として有効。今後も顧客との対面営業は制限が続くものと予想しているが、既存顧客とのコミュニケーションについては、ウェブミーティングの活用で対応している。時間の融通性や移動などといった効率面での一定の利点は認められるものの、顧客とのより深いコミュニケーションを取る意味合いを重視して、対面営業も平行して積極的に行っていく。新規顧客に対しては、ホームページへの問い合わせなどを通じたコンタクト機会を拡大させるほか、ウェブ営業のスキルを高める取り組みによって、最大限の成果が得られるように努める。

社内的には、毎年恒例となっている販売代理店を対象とした勉強会「ニッタスクール」を工業資材事業部(ベルト)等と一緒に9月中旬に開催したが、新型コロナウイルスの感染予防という観点から、今年もウェブを通じての開催となった。製造工程や製品紹介などのプレゼンテーションが行われたが、一人でも多くの参加者にとって営業の一助になるように同社では期待を掛けている。

現在のような予測不可能な環境に置かれ、製品のソリューション提案や相手の〝困り事案件〟のくみ上げ、コミュニケーションの部分における新たな取り組みとしては、今年4月にホース・チューブ製品、メカトロ製品のホームページのリニューアルを実施。各種データや動画などといったコンテンツの充実を図りながら、顧客への情報発信力を高めていく施策に一段と尽力している。

注力商品と新製品の状況としては、今年3月に上市した超柔軟樹脂ホース「ラインメイトLB70シリーズ」のカラーシリーズの受注や引き合いが徐々に増加。LB70シリーズの主要ターゲットである工作機械だけではなく冷却配管、各種製造装置などにおいても、流体による識別や誤配管防止などといったメリットを提案することによって、さらなる拡販を目指していく。自動工具交換装置「NITTAOMEGA type XM」(可搬重量250~350㌔㌘)においては、従来機種に対して薄型・軽量といった特長が市場の評価を獲得し、受注や引き合いが増加。今年6月には「NITTAOMEGA type L」(同350~600㌔㌘)といった上位モデルを新たに追加しており、今後もtypeシリーズのラインアップを充実させることによって一般産業分野に向けてもすそ野を広げていく。

同社のメーカーとしての強みの一つとしては、顧客と共同で開発を進めてきた経緯などを経て、独自技術やノウハウを蓄積。チューブ・継手の専業メーカーとして、今後はそれらの蓄積した技術を応用することで冷却配管、飲料配管、医療・バイオ配管など多様な流体移送の分野を開拓していく方向で新たな可能性を見いだしていく。

現在の業界の展望と今後の見通しについては、業況はおおむねコロナ禍前の状況に戻ってきていると見ており、予断を許さないものの、当面は現在の好調さを維持する見通しを立てている。