2021年10月15日

関西ゴム技術研修所
「第60回入学式」をオンライン開催

新入研修生は32人
モニター通じて初顔合わせ

関西ゴム技術研修所(駒水謙二所長)の「第60回入学式」が10月1日、研修を受ける学び舎となる大阪府東大阪市の化学物質評価研究機構の大阪事業所からオンライン形式によって開催された。今年の新入研修生は32人(うち女性8人)で、ゴム技術に関する知識を学ぶ意欲を持って自主的に参加した人材のほか、周囲から推薦されて入学を決めた将来の技術陣の中核候補などが、大志を抱いて学び舎の扉を叩いた。

入学式も本来は9月に行われていたが、今年は政府による緊急事態宣言発出の解除を待って10月に移行。入学式についても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大のリスクを回避する目的から、リモートでの開催となった。

入学式の冒頭、あいさつに立った駒水所長は「本日、32人の新入生を迎えることができて心より歓迎するとともに、送り出して頂いた企業各社にも感謝の気持ちを示したい。当研修所は〝ゴム技術者はわれわれゴム業界の手で育てよう〟という理念の下、1962年に設立された。ゴム業界が手掛ける材料や技術も多様化、広範化してきており、それらを扱いこなすためには、化学の知識も求められるようになっている。講師陣も理解が得やすいよう講義を進めるが、皆さんも質問などを経て貪欲に知識を吸収していってほしい。学び以外では、コミュニケーションを積極的に促進することで、研修生同士のつながりが得られる絶好の機会であり、オンラインであっても親ぼくを深めることが将来に役立つと信じている。新入研修生として今は不安な気持ちもあると思うが、既に2400人以上の研修生が卒業し、それぞれの会社で活躍している。難しいと感じる講義内容も理解できるようになってくるので、皆さんには安心して研修に臨んでほしい。新型コロナの様子を見る意味もあって10月、11月はオンラインによる講義が中心となるが、皆さんの大きな飛躍に期待している」と激励した。

来賓のあいさつが行われ、オンラインで出席した日本ゴム協会の斎藤拓会長は「皆さんは60年前に開講し、歴史と伝統を積み重ねてきた関西ゴム技術研修所の栄誉ある一員となった。現在も何らかの形でゴム製品に携わっており、今回も新たな目的を携えて参加を決めたと思う。初心を忘れず能動的に知識や技術の習得に打ち込んでいってほしい。ゴム分野は奥が深く、9カ月にわたる研修期間で44講座の実施が予定されている。学ぶ範囲は広く、非常に興味がそそられる分野でもある。研修所の卒業後も、掘り下げて学びたい内容があれば、ぜひとも日本ゴム協会という団体を活用してほしい。産業界の変革はゴム産業にも及んでおり、皆さんも時代の変革時に活躍する一員としてゴム業界の発展に尽くしてほしい」と期待の言葉を述べた。

祝電が披露され、大阪ゴム工業会の清水隆史会長が「新入研修生の皆さんには、コロナ禍に負けることなく、この研修所で学んだ知識を身に付け、仲間とのつながりを得ることによって実り多いものとなるよう願っている」と伝えてエールを送った。

伊藤晴彦事務局長によって研修内容や注意事項など、入学・受講にあたっての説明が行われた後、山口幸一名誉所長(工博)による特別講義「ゴム工業概説」が開催された。山口名誉所長は「この研修所では、86年から30数年間にわたって講師を務めてきた。08年に所長に就任してから10数年を経て、2年前に駒井所長にバトンタッチした。そこで感じ得た経験則としては、若いうちにゴムの基礎知識を身に付けておく大切さであり、基礎ができていれば、思ったように次の知識の積み上げができる。仲間との交流も大切で、この9カ月間で何人の仲間ができたかという成果も重要な項目でもある。ゴム産業は非常に大きな分野であり、大半の技術者はその一部のエキスパートとなる。知識の全容を身に付けることは非常に難しく、未知の領域に差し掛かったとき、仲間の存在が非常に大きな助けとなる。皆さんに願うことは、自ら求めるテーマに意欲的に取り組み、業界全体の発展のために役立ってほしい」と述べ、特別講義に入った。

新入研修生の自己紹介がモニターを通じて行われ「会社で手掛ける製品分野において、一番の知識を持った人材になりたい」「ゴムだけでなく、この9カ月間を通じて化学の知識も身に付けたい」「ここで蓄えた知識をベースにさらに磨きをかけて、業界のお役に立てるよう頑張っていく」など意欲的な抱負が聞かれた。

運営委員の紹介が行われた後、閉会のあいさつとして百武健一郎副所長が「コロナ禍によって前回の研修内容から、変則的な状況を余議なくされており、実習などの実施も難しくなっている。少しでも本来の研修に近い形で実施できるように考えており、皆さんには9カ月間の研修期間を向学心を忘れずにいそしんでほしい」と述べ、式典を締めくくった。