2021年11月5日

帝人グループ
仏でSMC商業生産開始

自動車向け複合成形材料
欧州で一貫供給へ

帝人グループで自動車向け複合成形材料事業を展開している米国のテイジン・オートモーティブ・テクノロジーズ(スティーブ・ルーニー社長、以下、TAT)は、フランスの拠点において生産性、外観性、寸法・品質安定性に優れるSMC製造設備による商業生産を先月から開始した。SMCはガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させ、シート状にした成形材料向けの中間基材で、シートモールディングコンパウンドと呼ばれている。

TATは自動車向けのコンポジット部品の北米最大のサプライヤーとしての地位を確立しており、主にガラス繊維を用いた自社開発のSMCの製造を行っているが、今回フランスでの商業生産を開始したことでポルトガルやチェコの成形拠点とともに、欧州におけるバリューチェーンを確立した。これにより、自動車産業の主要市場の一つである欧州の域内において、北米と同様に材料から成形までの一貫生産体制を実現したこととなる。

今後TATは、開発中の低VOC(低揮発性有機化合物)などを使用した製法も加え、優位性の高いコンポジット製品を拡大展開することで、欧州の自動車メーカーのニーズに対応していく。

帝人グループは、自動車業界が求める軽量、安全で、エネルギー効率や耐久性に優れる部品をグローバルに提供することができる世界有数のリーディングカンパニーとして、さらに確固たる地位を確立していくとともに、バリューチェーン全体のライフサイクルにおける、CO2排出量削減に向けた技術開発やさまざまな取り組みにも注力し、2030年近傍には、自動車向け複合成形材料事業の売り上げを20億米㌦規模へと拡大を図る。

【SMC製造設備の概要】
▽設置拠点の所在地=フランス・メーヌ=エ=ロワール県ポアンセ
▽設置拠点の事業内容=炭素繊維を用いたRTM、外板部材、熱可塑性コンポジットなどの研究開発およびSMC製造
▽新規設備への投資額=約7億円