2021年11月5日

日本ゼオン
2022年3月期第2四半期決算説明会

売上高、営業利益四半期単位で過去最高

日本ゼオン(田中公章社長)は10月29日、2022年3月期第2四半期決算説明会をテレフォンカンファレンスで行った。説明会には田中社長、平川宏之取締役常務執行役員、松浦一慶取締役執行役員、曽根芳之常務執行役員が出席。今第2四半期の概要として「エラストマー素材、高機能材料とも総じて堅調に推移し、当業績は前年同期に対して増収増益、対前期では増収減益となった。特に売上高と営業利益に関しては、四半期単位で過去最高を達成した」と説明した。当期の売上高は前年同期比30・3%増の1790億7500万円、営業利益は同151・7%増の249億5100万円、経常利益は同143・0%増の265億7800万円、四半期純利益は同124・8%増の183億9400万円となった。

セグメント別では、エラストマー素材事業部門の売上高は同38・8%増の988億9600万円、営業利益は同13・1倍の108億4200万円。営業利益における増減要因は、原料価格の影響などによる原価差99億円、海上運賃上昇などによる販管費差で30億円のマイナス要因があったものの、販売価格改定などによる価格差176億円、出荷量増による数量差で38億円、為替差益による15億円のプラス要因があったことで100億円の増益となった。合成ゴム関連では自動車減産の状況下でも需要は依然として堅調であり、国内・輸出・海外子会社とも販売は好調に推移。合成ラテックス関連では、新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした医療・衛生用手袋向けの需要拡大継続や、樹脂改質用途が堅調に推移したことなどにより、売上高、営業利益ともに前年同期を上回った。化成品関連では、欧米の粘着テープやアジアのトラフィックペイントとも需要はおう盛であったものの、水島工場およびタイ子会社の定期検査による出荷調整もあり、販売数量は伸び悩んだ。一方で、需給ひっ迫とナフサ上昇による値上げにより売上高、営業利益は前年同期間を上回った。

高機能材料事業部門の売上高は同16・3%増の540億8200万円、営業利益は同43・8%増の140億1900万円。同事業部門の営業利益における増減要因は、電池材料・高機能樹脂出荷量増による数量差で31億円、生産増に伴う製造固定費の減少、原価低減などによる原価差で17億円、為替差益で4億円の増益要因があったことから価格差による5億円、販管費増による5億円を補って43億円の増益となった。高機能樹脂関連では光学樹脂、光学フィルムともに販売が堅調に推移。光学樹脂の状況は光学用途向けはセキュリティカメラ、モバイル向けが堅調で同26%伸びた。医療、その他向けは出荷の端境期であったことから前年同期と比較して伸び悩んだものの、需要は堅調で同11%増となり、全体では同17%増となった。光学フィルムの状況は中小型向けがスマートフォン・タブレット向けとも堅調に推移、半導体不足の影響は軽微にとどまり、同1%増。大型向けは中国市場向けが堅調に推移した結果、同5%増となり全体では同4%伸ばした。高機能ケミカル関連ではトナー、電池、化学品、電子材料のすべてにおいて売上高、営業利益ともに前年同期の実績を上回った。電池材料の状況は、EV向けが半導体などといった材料不足の影響から第1四半期の勢いから比べて一時的に減少したが、前年同期比では同82%増と大きな伸びを達成。民生他向けは家電・モバイル端末向けが前期並み、産業用途(ESS)は堅調で同1%増となり、全体では同7%の伸びとなった。

その他の事業部門の売上高は同34・1%増の276億600万円、営業利益は同182・4%増の12億9600万円。子会社の商事部門等の売上高が前年同期を上回った。

通期については、第2四半期の業績が高水準であったものの、下期における半導体の材料不足や、主要原料の価格動向などといった不透明要因を踏まえ、直近に公表した業績予想からの修正はなく、売上高を前期比10・3%増の3330億円、営業利益を同25・7%増の420億円、経常利益を同15・1%増の445億円、当期純利益を同13・7%増の315億円を見込んでいる。