2021年11月15日

ユーシン精機
取出ロボット「YD」シリーズ発売

主力「YC」シリーズのモデルチェンジ機

ユーシン精機(小谷高代社長)は、同社の主力取出ロボット「YC」シリーズのモデルチェンジ機である「YD」シリーズを、11月1日から発売した。モデルチェンジは約10年ぶりとなる。今回のYDシリーズは対象成形機型締力30~1300㌧に対応する幅広いラインアップに加え、顧客の要望にこたえる新機能や装備を数多く搭載し、生産性向上と利益向上に貢献する。

YDシリーズは生産性向上、ティーチング(操作性向上、生産効率アップ)、ダウンタイム低減、環境対応(環境負荷低減)の4つのテーマにフォーカス。それらを実現するために15のエンハンス(より良くする、より進歩・強化させる)機能を標準装備した。

生産性向上をエンハンスする機能として、YCシリーズで採用されているCFRPを改良した第三世代CFRPである〝CFRPⅴ3〟を採用、曲げ剛性を従来品から46%向上させ、アーム単体で13%の振動振幅削減を達成した。振動の少ない安定した動作で、取出時の製品へのキズの発生や取り出しミスを削減し、生産性向上につなげる。

これまで引抜軸のみ採用していた制振制御を、横行軸・上下軸にも採用することで、全軸最適制振制御(特許技術)とし、制振制御機能を強化。取り出し動作だけでなく開放動作やワーク受け取りなど、さまざまな場面でのウェイティングタイム(タイマ)を削減し、サイクル短縮に貢献する。

サイクルアップ機能(特許出願中)を搭載しており、取出ロボットが動作したステップごとに所要時間をリスト形式で表示。サイクル短縮可能な箇所を〝見える化〟することによって、生産性向上につなげる。手動トルクモニタによって、各軸に対する可視化されたトルクゲージを見ながら、わずかなトルク変動を観察し、微調整することが可能。インサート成形などの難易度の高いティーチング時のわずかなトルク変動を観察しながら微調整することができる。

取出診断機能(特許出願中)によって取出動作における吸着圧を常時監視、パターンを自動判別し、取り出し不良の原因究明をアシストする。吸着圧表示により、吸着圧の長期的な変化を確認することによって取り出し不良発生を未然に防止する気付きにつながる。予防保全から予知保全(特許技術)に進化。予知保全により、取出ロボットの運転中の状態を常時監視し、故障につながる兆候を検出した場合に、メッセージで知らせる。手動操作時トルク監視機能(特許出願中)の搭載により、ティーチング時の取出ロボットにかかる負荷を監視し、誤操作による破損を防止。負荷設定は3段階で調整可能で、設定を超えた場合は警告画面によるメッセージ表示、ブザー音でオペレータに注意を促すことで、取出ロボットなどの破損を未然に防止する。

同社独自のECO吸着を進化させたSmart ECO吸着(特許出願中)により、さらなるエア消費量削減を実現。Smart ECO吸着は吸着圧力を常時監視することで、吸着開始タイミングを最適化し、エア消費量を最大78%カットすることで、電気代を削減するとともにCO2排出量を削減する。ECOモニタ(特許技術)が、電力とエアの消費状態をリアルタイムに表示し、現場での省エネ対策に貢献。エコロジーモードによって取出ロボットの横行速度を成形サイクルに間に合う程度まで自動減速調整し、消費電力を削減した(同社計測5%削減)。ガイド軸、タイミングベルトの長寿命化といった効果も得られ、ランニングコストを低減させる。

生産モニタ画面の情報を、イーサネット通信により外部に通知することが可能。生産情報やエラー情報を出力することによって、ユーザーの工場内で集中管理することができる。

クリーン仕様のケーブルキャリア、食品機械用グリスとして欧州でもスタンダードであるNSF―H1認証を受けたグリス、グリス飛散防止カバーを装着することにより、取出ロボットから発生する粉じんを最小限に抑制、ISO Class6レベルのクリーン度を実現し、医療・食品業界のクリーンな環境に対応できる。

本体価格(消費税別)は、対象成形機型締力30㌧以下用の「YD―0103D」が330万円、同30~100㌧用の「YD―0310」が360万円、同100~250㌧用の「YD―1025D」が400万円、同250~350㌧用の「YD―2535D」が430万円、同350~500㌧用の「YD2―3550D」が560万円、同500~800㌧用の「YD2―5080D」が640万円、同800~1000㌧用の「YD2ー80100D」が780万円、同1000~1300㌧用の「YD2―100130D」が850万円。販売計画としては、年間約3000台を見込んでいる。