2021年11月30日

【ゴム・樹脂コンベヤベルト特集】
フォルボ・ジークリング・ジャパン

Prosanの支持
年を重ねて確実に上昇

フォルボ・ジークリング・ジャパンが手掛ける搬送ベルト事業は、1―10月においては販売、利益ともに計画値を若干下回ったものの、前年同期比では5%増となった。計画比では若干の未達ながら、昨年実績に対して確実に伸びを見せていることから、業界・産業によって勢いに違いはあるものの、取り巻く環境としてはコロナ禍前の水準へと徐々に回復する兆しをうかがわせている。

需要分野別では、食品分野が、インバウンド需要の低下による影響によって停滞、特に土産物などの生産に陰りが出ており、コロナ禍前の水準に戻るまでには時間を要するものと見ている。その一方で、巣ごもり需要によって中食分野は堅調に推移。特に、改正食品衛生法への対応が好調さの後押しをしている。自動車産業は、半導体不足などによる生産調整によって、ベルトの出荷にも少なからず影響を受けたものの、今後の展開に期待が寄せられている。物流分野においては、近年のeコマースの隆盛に伴って通販関連が好調。物流センターにおける設備投資が活発化しており、ライブローラ用の平ベルトなどにおいて伸びが継続している。繊維分野は、中国をはじめとした海外での需要が急激に回復。国内では衛材関連が堅調に推移している。

同社の主力製品については、搬送用ベルト「Prosan」が堅調に推移。1―9月の販売実績は昨年比で102%となっており、年を重ねるごとに確実に成長を続けている。Prosanは「ProfessionalSanitary(卓越した衛生性)」を意味しており、搬送面に加え、下面(駆動面)や側面まで耐湿熱性のポリウレタンでコーティングされている構造が最大の特長。食品の水分や油などが染み込む心配がなく、常に水洗いが可能で、耐熱性にも優れていることから高温水洗浄にも対応する。洗浄後の乾燥性も良く、素材そのものに抗菌効果が付与されている。下面(駆動面)には特殊低摩擦凸型パターンを施しており、低摩擦係数でもテーブル走行が可能、目詰まり抑制効果もあって清掃も容易にしている。昨年6月にHACCP義務化の法令が施行されたことで、コンベヤベルトよりも洗浄性に優れ、異物混入のリスクが少ない製品を望む声が多くなっている状況も、Prosanへの支持が高まっている要因となっている。

新しい「プロリンクシリーズ18」は、ピッチが25・4㍉㍍(1㌅)で、カーブベルトにもスパイラルベルトにも使用できる耐摩耗性の高いモジュラーベルトとして評価が高まっている。開口率44%という仕様によって通気および水はけに優れている上、軽重量でありながら非常に高い剛性を備えていることから、高い耐荷重性を発揮する。プロリンクシリーズ18には信頼性に優れ、取り付けも簡単な〝新型PLXヒンジピン〟を標準採用。新型PLXヒンジピンは革新的な特長を備えており、ベルトの小さなパーツ(クリップ、キャップ等)の混入がないことから、食品産業用途にも適している。プロリンクシリーズ18においては、ホールドダウンタブ付きの仕様とホールドダウンタブが付かない仕様を用意しており、ベーカリー、パン、ビスケット、スナック菓子のクーリング工程、包装ラインのほか、食肉、家禽、水産物、スナックおよびインスタント食品の搬送に適している。

今後の見通しとしては緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が解除されたことにより、一段と活発な営業活動ができるようになったものの、県をまたいだ移動を懸念する取引先も少なくなく、以前と同じレベルの営業活動に戻るまでには時間が必要とみている。コロナ禍における同社自体を取り巻く環境としては、社員とその家族も含めて現時点でも感染者を出すこともなく事業を継続。日本社会でも最近になって感染者は減少しているが、同社では「今後も徹底した感染予防対策を実施することで、お客様に安心して頂いた上で、より親密で活発な営業活動を行っていきたい。同時に、お客様に対してオンラインでの製品説明会や研修会を実施することで、感染拡大リスクを軽減する努力を今後も継続していく」としている。