2021年12月10日

デンカ
渋川工場に新規設備

電子材料中核生産拠点に

デンカ(今井俊夫社長)は、群馬県渋川市に所在する渋川工場を電子材料の中核生産拠点と位置付け、放熱シート(「デンカ放熱シート」)の新規生産設備を渋川工場へ導入し、生産能力を現在の約2倍に増強することを決定した。同社は今後の車載・通信市場における放熱シートの需要拡大に対応するだけでなく、放熱材料をはじめとしたスペシャリティー事業をさらに強化する。投資金額は約17億円の見込みで、稼働時期は2024年度上期の予定。

シリコーン樹脂に機能性フィラーを高充てんすることで高い絶縁性や、放熱性の機能を持たせた放熱シートはその性能から車載製品や通信基地局など、さまざまな電子機器に使用されている。同社では、ⅹEVなどの車載電装機器や5Gを中心とする通信基地局などで放熱シートの需要はさらに拡大すると見通し、同社グループ企業で放熱シート、雨どい、ポリエチレン暗きょ排水管など合成樹脂製品の製造を行っている九州プラスチック工業(熊本県玉名市)から渋川工場への生産移管および新規設備導入による生産能力の増強を決定した。

渋川工場は1951年に塩化ビニル系樹脂の生産拠点として操業開始以降、時代のニーズに合わせて高熱伝導メタルベース基板をはじめとする放熱材料、半導体製造工程用仮固定テープ、アクリル系接着剤など電子材料を中心とした生産拠点に転換し、今年で操業70周年を迎えた。

今後は自動生産プロセスの導入や工場内の研究開発部門を強化し、車載・通信で求められる高熱伝導・高耐熱・接触熱抵抗低減・高耐圧等を持ち合わせた次世代スペシャリティー製品の開発も行っていく。

【渋川工場概要】
▽所在地=群馬県渋川市中村1135
▽生産品目=高熱伝導メタルベース基板(デンカヒットプレート)、放熱材料(デンカ放熱スペーサー、デンカ放熱グリース)、熱陰極源(デンカLaB6カソード、デンカTFE、デンカエルミオン)、半導体製造工程用仮固定テープ(エレグリップ)、アクリル系構造用接着剤(ハードロックSGA)、補修・補強工法用アクリル系接着剤(ハードロックⅡ)、光硬化型接着剤(ハードロックOP/UV)
▽従業員数=約500人