2022年1月5日

新春トップインタビュー
タイガースポリマー

優良企業へと進化
働きがい感じる職場環境へ

【昨年を振り返って】
コロナが少し落ち着き、それによってもたらされた影響も緩和されてきたことで今期(2022年3月期)の第2四半期の業績は売上高、利益ともに増収。黒字回復を果たすことができた。前年同期は上期において、コロナ禍による大きなダメージを受けたことから、今期の上期はその影響分を取り戻す取り組みに励んだが、前期からの改善というよりむしろ、業績を好調に伸ばしていたコロナ禍前の2019年の実績に近い水準へと引き戻すことができた。まずは、胸をなで下ろせる実績で今期を折り返せたかと思う。自動車の生産動向が当社の業績を占う大きな要因となっており、2020年は特に海外におけるダメージによって大きな影響を受けた。2021年に入ってからは、半導体不足、サプライチェーン問題といった想定外の事態によって自動車生産の回復傾向に歯止めが掛かったものの、第2四半期において米国では前年同四半期のロックダウンによる長期間の操業停止の反動で売り上げを大きく伸ばした。東南アジアにおいてもタイで自動車部品の国内販売、米州の米国向けの販売が好調に推移したほか、中国でも売り上げを伸ばした。工業用品については、国内のゴムシートやホースの動きが良く、米国においても前年同期の販売減少の反動によって伸びた。東南アジアではマレーシアの家電用ホースが伸びを見せたほか、中国も同様に売り上げを伸ばし、以前の水準にまで売り上げをばん回した。

【事業を取り巻く現状と直近の見通しについて】
第2四半期以降の情勢については、自動車産業において半導体不足の影響が深刻度を増し、生産調整などを余儀なくされたが、当社が受けた影響の度合いは最小限にとどまった。マレーシアでは、夏場の新型コロナウイルス感染症の拡大によるロックダウンの影響を受けた。中国市場においては大きな変動はなかったものの、米州では好調であった情勢に歯止めが掛かり、タイにおいても厳しさを募らせた。当初は、半導体不足の問題は秋口辺りには解決するものと予測していたが、遅れており、その影響の度合いは一段と深刻さを増している。本来は第3四半期において自動車生産が復活を遂げ、それまでの停滞分をカバーするものと見込んでいたが、ここにきて計画の変更を余儀なくされている。工業用品については、国内の市況の回復によって停滞していたマットの需要の伸びが期待できるほか、シートやホース需要についても売り上げを維持している。地中埋設管については、太陽光発電の動きがひと段落したことで、需要は落ち着いている。

【懸念材料については】
原材料不足が深刻さの度合いを増しており、確保さえ難しい局面を迎えようとしている。価格も高騰しておりコストがかさんでいるものの、原材料が途切れることによって製品の安定供給に支障をきたす事態は避けなければならず、何より原材料の量的確保が重要課題となっている。原材料の供給サイドでは大幅な値上げ要請だけでなく、原材料不足と言われる環境において製品グレードを削減する動きがあり、従来のグレードからの変更を迫られる局面も生じている。品質を維持しながら製品の安定供給を図るためには、従来通りの原材料確保が重要課題となっており、それによって引き起こされる価格の高騰についても、自助努力によって賄えるレベルをはるかに越えてしまっている。姿勢としては製品価格に転嫁するしか手立てはなく、品質を維持しながら安定供給を第一に考えた結果として製品価格の値上げに踏み切っている。

【今後に向けた新たな取り組みについて】
基幹システムの刷新を行い、昨年5月から運用しているが、社内の順応度が高まることによって高い効果が引き出されるものと期待している。従来のシステムにおける熟練者も多いものの、なじんで身に付くことでシステムの本当の力が発揮される。組織的にはBCPへの対応も兼ねて、生産拠点を念頭に置いた物流対策を講じており、需要地の近辺から納品を可能にするネットワークを構築することで、物流費を削減する構想も描いている。原料費だけでなく、海外との物流においてはコンテナ不足の影響から海運費の高騰が進んでおり、現状では数倍にまでコストが跳ね上がっている。この状況については価格転嫁が難しい問題でもあることから、自助努力で克服する方策を練っている。社内的な変革への取り組みとしては、事務の効率化によって働き方改革に結び付けていきたい。モノづくりの現場において、生産性に大きな影響を及ぼす作業が事務手続きであり、慣例として引き継がれている作業もうかがえる。情報の共有化などといった必要不可欠な事務処理が存在する半面、価値を生み出す根拠を持たない作業については見直しを行う。事務作業のシンプル化は、営業スタッフにとってもメリットが見込まれ、本来の業務への注力度を高めることができる。惰性を排除することによって、仕事の効率化とコスト削減効果を引き出したい。

【今後のテーマと展望について】
経営方針としては“利益の増大を図り、従業員が働きがいを感じられる職場環境を構築する”ことをテーマとしており、ブレることなく誠実に業務をこなすことで実現につなげる。収益力の強化が重要なキーポイントで、SDGsへの取り組みについても、利益を確保して投資を行い、環境や社会への配慮を行うESG経営に取り組むことが可能となる。収益力を高める手法としては固定費の削減も重要で、従業員の能力向上と同時に効率的に働くことができる体制づくりを行うことにより、タイガースポリマーを優秀な人材によって支えられる優良な企業へと進化させていきたい。