2022年1月15日

新春トップインタビュー
ゲイツ・ユニッタ・アジア

市場での差別化製品を供給
顧客の要求見極め

【昨年を振り返って】
前期(12月期決算)は、売り上げにおいては前年比で20%以上回復し、収益面ではそれ以上の伸びを果たした。前期末辺りから自動車産業が回復の兆しを見せ始め、それに続いて一般産業分野が明るさを取り戻してきた。日本市場は好調に推移したものの、中国では新型コロナウイルス感染症に過敏に反応している政府によって、各地でロックダウンが相次いで行われたことで回復ムードに歯止めが掛かった。インドは大幅に回復し、エンジン回りなど建機分野が好調に推移した。アセアン諸国は回復基調ではあるが、依然としてコロナ感染状況に左右されている。アジア全体で、第1四半期までは自動車産業が勢いを取り戻す兆しを見せていたが、半導体不足による生産調整の影響などによって、年間トータルでは前年実績を下回った。一般産業用は年間を通じて好調に推移しており、需要分野の市場環境によって格差はあるものの、半導体製造装置や産業用ロボット向けが伸びており、半導体不足に伴う設備増設や自動化ニーズの高まりもあって投資に拍車が掛かっている。工作機械などの需要の高まりに対して、ベルトの需要も大きくなるが、位置決めなどにおける高い精度が求められる機械だけに、品質への信頼性の高い当社のベルトの受注が伸びた。既にコロナ禍前の2019年の水準を上回っており、工場は高水準の稼働率の状態が続いている。今期も同様のレベルを維持すると思うが、半導体不足やサプライチェーンの問題などといった懸念材料も残されており、自動車のEV化の流れもあって、ベルト事業を取り巻く環境については厳しいものがある。今期の売上高目標については前期比10%増を狙うが、市場環境の見通しを踏まえた上で、達成に向けた展開を模索している。

【EV化の流れに対する対応は】
EVに対しては、エンジン搭載車と共通するアプリケーションとしてエンジン以外の用途において進めている。EPASを主体に行っているが、市場での競争が激化する中、競合に対する優位性をさらに確立していく必要がある。インド、東南アジア市場においては二輪車が普及しているが、そのEV化も進んでいる。騒音が低減される上、潤滑油も不要なことから、クリーン化への取り組みとしてチェーンからベルトへの置き換えが進んでおり、こうした流れが周辺国にも広がる可能性も高く、有望なカテゴリーとして期待している。

【昨年6月に副社長に就任してから半年近くが経過しましたが】
海外への出張ができなかったことで、日本以外での仕事はオンラインに頼らざるを得なかったことから、もどかしさを感じた。海外においては現地に赴くことなく、日本にとどまっての情報の把握は難しかった。就任してから、ゲイツ・ユニッタ・アジアとニッタとの経営姿勢の違いは大きいことを改めて感じた。世界的な潮流として、企業の目標は収益の最大化だけではなく、環境対応も重視する姿勢が今後は強く求められており、カーボンニュートラルなどに対する要求の高まりによって事業への適応が不可避な局面に立たされている。今後は環境投資も行っていかなければならず、輸送についてもコストとともに環境基準に立って選択する必要があり、材料面でも見直す必要がある。ニッタは環境対応を進めており、ゲイツ・ユニッタ・アジアにとっては、その課題も同様に追随していこうと考えている。

【今後の取り組みと展望について】
補修部品はアジアの伸びが目立っており、自動車同様に一般産業分野も動いている。食品関係や自動機器分野などへも力を注ぎ、需要分野の拡大を図る。また、鉄鋼や製紙などといった重厚長大な分野におけるチェーンからベルトへの置き換えを推進している。高負荷なラインで効果的に使われており、日本では既に浸透しているが、東南アジアやインドなどではまだまだ伸びる余地があると見ている。今後は市場ファーストで市場開拓、製品開発を進め、全体的なスピードアップも図る。新しいアプリケーションにおいて製品開発を行い、自動車だけではなく一般産業用の新規需要獲得を目指す。多様性に富んだ分野だけに、顧客の要求を見極めて取り組み、従来は産業用ロボットや工作機械を主体に事業を推し進めてきたが、食品分野などにも目を向け、市場での差別化製品を供給することによって、ゲイツ・ユニッタ・アジアの存在感を一段と高めていきたい。