2022年2月5日

住友ゴム工業
第11回DTS全国TBタイヤ作業コンテスト

リモートで初開催、技術頂点競う

住友ゴム工業(山本悟社長)は1月28日、全国のダンロップ・タイヤ・ショップグループ(DTS)におけるトラック・バス車両のメンテナンス技量の向上促進を目的とした、毎年恒例の「DTS全国TBタイヤ作業コンテスト」の結果報告会をオンラインによって行った。同社では2008年以降、作業力価値向上活動として、タイヤ交換作業における技術力の向上に向けた取り組みとして推進。10年からコンテストとして定着し、17年には参加対象をDTS加盟店にも拡大し、技術力を競い、お互いを高め合う取り組みとして意義を強めている。毎年の取り組みの中で、常に最新の標準作業や技術力を競い合う場として行われてきたが、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止を余儀なくされたものの、第11回目となる今年は映像による初のリモートコンテストとして実施された。

全国10販社拠点と東京本社の11拠点において実施、各作業現場を映像で記録し、実技試験は昨年8月25日~12月25日にかけて撮影され、画面越しにメンテナンススタッフの動きや手際を審査した。筆記試験は昨年9月16日~12月27日、審査は先月23日に行われた。

結果報告会に先立って、同社タイヤ国内リプレイス営業本部の河瀬二朗執行役員があいさつを行い「今回はコロナ禍による感染予防の観点から、実技作業は全国10販社の直営店で事前に動画収録を行い、審査においては、販社とテレビ会議接続することで、動画の同時共有によって行うという新たな形によって開催する運びとなった。今回は出場者から伝わる緊張感や真剣なまなざしを、動画で見ていきたいと思う。われわれのビジネスにおいてタイヤ交換作業は重要な業務であり、2つの使命がある。一つ目は作業事故を防止しお客様の安全を守ることであり、国交省が発表した20年の大型車の車輪脱落事故件数は131件と、過去最多を記録している。つい先日、不幸にも脱輪による人身事故が発生したことは、われわれにとっても対岸の火事ではないと自ら戒めている。作業ルールを守り、作業者のチームワークにより確実に作業をやり遂げる技術の必要性が高まっている。二つ目は収益の柱とする目的で、事業利益を増やすためには交換作業による収益アップが課題であり、作業者がより活躍する環境づくりが必要となっている。このコンテストによって披露される作業技術が〝いかに安全に、いかに効率よく向上させるか〟〝いかにその技術を広く伝承させるか〟の模範となる効果に期待を寄せている」と開催意義について述べた。

続いて、同社タイヤ国内リプレイス営業本部技術サービス部の田村正広部長が趣旨について「コロナ禍にさいなまされているが、当社グループでは、お客様の安全・安心に向けて日夜、タイヤ交換作業における技術力の向上に努めて励んでいる。たとえコロナ禍という環境下であっても、メンテナンススタッフの作業力価値向上活動に向けたこのような取り組みを取りやめることはできない。録画収録によるリモート開催は、今回が初の試みとなるが、継続を前提とした今後の展開を見通すと、こうした手法の浸透も必要ではないかと考えている。今年のコンテストはチーム戦としており、1販社2名がエントリーした。出場資格は当社が定めるTB作業レベルのT3認定保有者と、もう一人の作業者の2人がチームとなっており、T3認定取得者は昨年までで380人認定されており、質の高い作業者として認められている。今回はドライバーから3軸目外側のタイヤがパンクしたので新品に交換し、前輪とローテーションしてほしいという依頼を課題として設定した。コンテストの特別ルールとして空気充てん圧は300㌔パスカル、ナットの締め付け力は600Nm、ボルト/ナットの清掃数は3カ所で完了という手順で統一。作業メニューは2人1チームの20人の作業者に一任している。チームワーク力も発揮しながら、全国10エリアから選抜された作業優秀チームがベストな選択を駆使し、お客様のために役立つ技術頂点を競った」と説明を行った。筆記試験における出題内容については、タイヤ作業における作業標準(車輪脱落、空気充てん事故防止関連)、時事問題(輸送・業界、車輪脱落事故防止関連)が出題された。

作業における審査はドライバーの依頼に対し、作業提案から作業報告までの過程において行われ、審査は3つのパートに分けて実施。1つ目のパートは、ドライバーから依頼を受けた作業に対しての作業内容の説明、提案、2つ目は実技作業で30分のタイムトライアル制としており、作業が早く終われば加点、30分を超えれば減点とした。3つ目は報告で、作業完了報告書に作業内容を記載し、ドライバーへの報告に対して評価を行った。報告においては、作業報告時の保守管理における提案およびインジケーターの製品説明の明朗さも得点として加味された。主な重点項目としては、社内標準作業の遵守をはじめ、効率や丁寧さの追求、〝だれに作業してもらいたいか〟というお客様目線で、従来のコンテストと異なる現実的・実践的な作業課題を立案し、販社間での高い作業スキルの競い合いが行われた。

優勝した販社はダンロップタイヤ北陸で、チームの作業責任者である清松芳朗氏は「第2回と第8回で全国大会へ出場したが、優勝はかなわなかった。今回はリベンジしたい気持ちで本社サービス部の力も借りて出場した。過去に北陸は優勝者を2名輩出したものの、福井支店では優勝者はいなかったので、優勝を持ち帰るという思いでコンテストに向けて取り組んできた。この優勝に甘んじることなくこれからも安全作業に従事して頑張っていく」と喜びの気持ちをコメント。タッグを組んだ寺渓昭恩氏は「作業責任者の清松さんが、優勝を取れずに悔しい思いをしていたと聞いていたので、一緒に金メダルを取りたい気持ちで頑張ってきた。本社サービス部、福井支店の力で優勝できたと思っている。一人の力では優勝は無理だったと思うので、これからもチームプレイを意識して皆で協力して頑張っていきたい」と今後に向けての意気込みを語っていた。