2022年2月25日

2021年12月期決算発表
ブリヂストン

黒字化で過去最高益
化工品・多角化事業も回復

ブリヂストン(石橋秀一CEO)は、2月15日に決算説明会を開催した。当期の決算概要については、昨年9月にグローバルCFOに就任した吉松加雄氏が説明を行った。それによると、同社グループの当期の売上収益は前期比20・4%増の3兆2460億5700万円、調整後営業利益は同90・1%増の3943億4000万円、営業利益は同503・0%増の3767億9900万円、当期利益は3078億6800万円(前期は197億9000万円の損失)となり、黒字化を果たした上、7期ぶりに過去最高益を更新した。

「プレミアム領域を中心にグローバルのタイヤ販売が大きく伸長し、2022年に設定していた計画を前倒しして達成できた。防振ゴム事業や化成品ソリューション事業の譲渡を決定し、稼ぐ力の再構築もおおむね完了している。継続事業ベースで化工品・多角化事業の黒字化も達成することができた」(吉松CFO)。当期の決算では、米国建築資材事業、防振ゴム事業、化成品ソリューション事業を非継続事業に分類したことで、非継続事業からの当期利益は、連結損益計算書上、継続事業と区分して表示されている。20年12月期においても継続事業の売上収益、調整後営業利益、営業利益および当期利益の金額を21年と同様の区分に組み替えている。こうした事情から、対前期増減率は公表されていない。調整後営業利益の増減要因は、原材料の高騰により1000億円、営業費790億円(海上運賃単価影響200億円)、非継続事業の組み替えにより155億円、南米通貨による影響で120億円の利益圧迫要因が生じたものの、数量で1100億円、MIX360億円、加工費830億円(生産現場改善活動ほかによる効果80億円、前期減損の影響130億円)、売値790億円(指数連動価格の影響130億円)、為替差益200億円、その他499億円のプラス要因が大きく貢献し、前期比1869億円の増益を遂げた。

セグメント別では、乗用車および小型トラック(PS/LT)用タイヤの売上収益は前期比19%増の1兆7350億円、調整後営業利益は同103%増の2466億円。高インチタイヤを中心に販売を拡大した結果、21年通期のPSR―HRD(18㌅以上)の販売量は同119%となった。市販用についてはメジャーブランドへの集中、適切な価格マネジメントを徹底しながら量を拡大。「ビジネスの質の向上」を推進した。新車用は半導体不足の影響を受けた。

トラック・バス(TB)用タイヤの売上収益は同23%増の8140億円、調整後営業利益は同54%増の880億円。市販用については堅調な建設需要ならびに運送需要を背景に、特に北米での販売が好調に推移。PS/LTと比べても堅調さが際立った。新車用は、トラクター生産における半導体不足の影響を受けたものの、PS/LTと比較すると影響は限定的にとどまった。

鉱山用、建設用(OR)を含めたスペシャリティーズの売上収益は同26%増の3929億円、調整後営業利益は同90%増の777億円。鉱山用は相対的に販売回復に遅れがあったものの、鉱物需要の強さを背景に第3四半期以降になって販売回復基調に入ってきている。建設用については、北米を中心としたおう盛なインフラや建設需要に伴い、市販用・新車用ともに販売が大きく伸びた。

継続事業ベースにおける化工品・多角化事業については売上収益は2432億円、調整後営業利益は102億円。化工品事業の売上収益は1265億円、調整後営業利益は11億円、スポーツ・サイクル事業の売上収益は726億円、調整後営業利益は43億円。米州多角化事業(空気バネ)の売上収益は393億円、調整後営業利益は46億円。

今期については、売上収益は前期比12・4%増の3兆6500億円、調整後営業利益を同7・8%増の4250億円、当期利益を同28・9%減の2800億円と見込んでいる。