横浜ゴム
サステナブル素材のレーシングタイヤ開発
2023年以降に供給を開始
横浜ゴム(山石昌孝社長)は2016年からワンメイクタイヤサプライヤーを務める「全日本スーパーフォーミュラ選手権」(以下、SUPER FORMULA)に、23年以降も複数年にわたりADVAN(アドバン)レーシングタイヤを継続供給することを発表。23年以降はサステナブル素材を活用したレーシングタイヤの供給を行う予定で、今年から開発を開始することも明らかにした。
サステナブル素材を活用したレーシングタイヤの供給は、SUPER FORMULAを統括する日本レースプロモーション(上野禎久社長、以下、JRP)が昨年10月に発表した「SUPER FORMULA NEXT50(ゴー)」(以下、SF NEXT50)に賛同して実施される。SF NEXT50はSDGsやカーボンニュートラルなど自動車、モータースポーツ業界を取り巻く環境変化に対応するため、サステナブルなモータースポーツ業界づくりを目的としてさまざまな企業とともに推進していくプロジェクト。
横浜ゴムはこれまで、16年に開催の「ゴム・エラストマー技術展」や19年の「第46回東京モーターショー」において、バイオマスから合成ゴムを生成する技術やリサイクル可能な熱可塑性ゴムの研究など、サステナブル素材の研究開発に関する発表を行ってきた。今回新たに開発されるタイヤには、米の籾殻から生成したシリカ、アブラヤシの実やオレンジの皮から生成したオイルなど各種自然由来の配合剤が活用されると同時に、廃タイヤから再生したゴムなども再利用される。この開発では走行性能を損なわずにサステナブル素材を採用していくことを目標とし、今シーズンのSUPER FORMULA各大会の前後の日程でJRPが行う次期フォーミュラカーの開発テストにおいて共同でタイヤテストを行い、シーズン終了時までに23年仕様のコントロールタイヤを確定する予定。なお23年以降もタイヤの開発を継続し、25年にはスポーツ性能を犠牲にすることなくサステナブル素材を35%以上使用したコントロールタイヤの供給を目指す。
加えて、横浜ゴムではESG活動を事業の強化に向けた実際的な事業戦略の一つとしてとらえており、活動を通じて持続的な企業価値向上につなげていく。サーキュラーエコノミーでは30年に再生可能原料・リサイクル原料使用率を30%以上とすることを目指している。
今回のプロジェクトについて横浜ゴムの山石社長は「JRP様のSF NEXT50のサステナブルなモータースポーツ活動のコンセプトに賛同し、来年以降のワンメイク供給を継続するとともに、サステナブル素材を採用したレーシングタイヤの開発に取り組んでいく。当社はこのESG活動をタイヤ消費財における〝高付加価値品比率の最大化〟に向けた事業活動の一つとしてとらえている。今後の再生可能原料およびリサイクル原料の使用の拡大にあたり、それが走行性能を損なうことなき技術として実用化することを目的に、国内最高峰レースであるSUPER FORMULAというモータースポーツの極限の世界を開発の場として、積極的な技術開発を行っていく」とコメント。JRPの上野社長は「今回のSF NEXT50プロジェクトを通じて、横浜ゴム様とさらなるチャレンジをともに進めて頂けることを大変うれしく思う。カーボンニュートラルに向けて環境負荷の少ないレーシングタイヤを開発頂くと同時に、〝世界と肩を並べる最高峰のフォーミュラカーレースにふさわしいタイヤとは何か?〟を、ともに探していきたいと思う。そしてこのサステナブルレーシングタイヤの開発が将来のモータースポーツ業界、そして自動車業界にとって重要な一歩になるようレースプロモーターとしてSUPER FORMULAの価値向上に努めていく」と期待を寄せている。