住友ゴム工業
「トマト由来酵素」の構造解明

住友ゴム工業（山本悟社長）は、東北大学・高橋征司准教授、金沢大学・山下哲准教授、理化学研究所放射光科学研究センターの山本雅貴グループディレクター、竹下浩平研究員らと共同で、天然ゴムを合成する酵素と類似した構造を持つトマト由来の酵素「Ｃｉｓ型プレニルトランスフェラーゼ（ＮＤＰＳ１）」の構造解明と機能改変に成功した。

植物由来の有用な物質の前駆体となるイソプレン骨格の化合物や天然ゴムの生合成にかかわる酵素であるＮＤＰＳ１は、Ｃｉｓ型プレニルトランスフェラーゼファミリーに属する酵素で、このファミリーには天然ゴム合成酵素も含まれており、構造が類似していると推察される。また、パラゴムノキの天然ゴム合成酵素よりも構造解析に適した性質を有することから、同研究グループは世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設・ＳＰｒｉｎｇ―８（兵庫県佐用郡佐用町）を活用して研究を進めてきた。

今回、ＮＤＰＳ１の構造を解明し、生成物の長さにかかわる重要部位を明らかにするとともに、この重要部位に変異導入を行うことで、生成物の高分子化と大幅な反応性の増強に成功した。この結果、自然界には存在しない化合物の生合成も可能となる。今回の構造解明によって、天然ゴム生合成機構のさらなる解明と、それによる天然ゴムの安定供給にかかわる技術開発の進展が期待される。

同研究成果は、先月８日付けで生命科学分野の国際誌である「Ｔｈｅ　ＦＥＢＳ　Ｊｏｕｒｎａｌ」に掲載されている（Ｔｈｅ　ＦＥＢＳ　Ｊｏｕｒｎａｌ公開ＵＲＬはhttps://doi.org/10.1111/febs.16392）。