2022年3月15日

東ソー
複合プラのケミカルリサイクル技術

産官学協働で開発、実用化加速

東ソー(桒田守社長)は東北大学(大野英男総長)、産業技術総合研究所(石村和彦理事長)、凸版印刷(麿秀晴社長)、東西化学産業(河野祐一社長)、恵和興業(笹川慎太郎社長)と共同で、複合プラスチックにおいて廃プラスチック類の廃棄物を化学的な処理により他の物質に変え、その物質を原料にして新たな製品を作るリサイクル方法であるケミカルリサイクル技術の実用化を目指した研究開発「複合プラスチックからのモノマー回収液相プロセスの開発」を昨年11月から開始した。本研究開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(石塚博昭理事長)の「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発/石油化学原料化プロセス開発」委託事業の追加公募で採択、実施される。

近年、医薬品や食品など一般に使用されているプラスチックの多くは多層プラスチックフィルムに代表されるように機能・性能を持たせるため、性質が異なる複数種のプラスチックを複合して使用されている。この複数種が複合されたプラスチック(複合プラスチック)のリサイクルでは廃棄物を単に焼却処理するのではなく、その焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用するリサイクル方法であるサーマルリサイクルに依存し、環境保全の観点からもマテリアルリサイクル(廃プラスチック類の廃棄物を、破砕・溶融などの処理を行った後に再生利用するリサイクル方法)やケミカルリサイクルの技術確立が期待されている。

このような課題に対し、本研究開発では包装・容器等に利用されている複合プラスチックからモノマーを回収する液相プロセスの開発を行う。複合プラスチックは、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の加水分解性プラスチックと、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の非加水分解性プラスチックで構成。当該複合プラスチックを高温高圧水中で処理することによって加水分解性プラスチックは再び同種のプラスチックとなるモノマー類へ、非加水分解性プラスチックは石油化学の原料に各々分解し、各モノマーを高選択・高収率・高純度で回収することができる。連続の液相プロセスによるケミカルリサイクル技術を確立することで、複合プラスチックごみをそのまま処理できる可能性があることから一般ごみのリサイクル率向上に大きく寄与し、環境保全に貢献する。