2022年3月25日

西部工業用ゴム製品卸商業組合
「ゴムとプラスチックの基礎」の勉強会開催

大阪府外からも約80人が参加

西部工業用ゴム製品卸商業組合(岡浩史理事長)は3月22日、同組合員の人材育成事業として「ゴムとプラスチックの基礎」についての勉強会を、大阪市北区の中央電気倶楽部で開催した。同会館で最も大きな規模を誇る大ホールを会場に選び、受講者間の距離を設けるなど、万全の感染防止対策の下で実施。基礎知識の習得が目的なだけに若手社員が中心で、今回は約80人が参加した。ゴムやプラスチックはホースやチューブの主原材料であることから、それらを手掛けるメーカーからも多数の営業スタッフらが参加。東拓工業、十川ゴム、八興、ユーシー産業などから、会社の将来を担う若手の人材が集った。

今年度(今期)の最後を飾る人材育成事業であり、今後に向けたスキルアップの土台作りの意味もあって、手掛ける商材の原材料として割合の高いゴムとプラスチックの基礎知識をテーマに選択。大阪府だけでなく、京都府や滋賀県からも足を運んで参加していることから、こうした知識に対するニーズの高さをうかがわせていた。

冒頭、あいさつに立った人材育成部会の矢島友雄副部会長は「コロナ禍も落ち着きを見せたことで本日、まん延防止重点措置が全国的に解除された。感染拡大防止には常に気を配る必要があるものの、実際に会場を設け、皆が一堂に会して組合事業を進められることになったことは非常に喜ばしい。本日の出席者は女性も多く、コロナ禍前は毎年恒例の事業イベントであった〝女性応援キラキラセミナー〟も今年はぜひとも開催したい。今日の勉強会はゴムとプラスチックの基礎知識に関する講義であり、皆さんにはこの機会に知識の再認識と新たな蓄積によって、今後の仕事に役立ててほしい」と述べ、開催に至った喜びと期待の気持ちを表わした。

講義内容は、ゴムの基礎とプラスチックの基礎について、2人の担当講師がそれぞれ解説。ゴムの基礎については、ニシヤマ・営業技術部大阪技術グループマネージャーの梅﨑信征氏が講師となって講義を進めた。基礎編として天然ゴムの生産量は年間1386万㌧(2018年度)でタイ、インドネシア、マレーシアにおいて75%が生産されている。パラゴムノキの樹液が原料ながら、最近では安定供給に向けて生産の多様化を目的にロシアタンポポなど、新たなゴムの産出に向けた取り組みも進められている。合成ゴムの生産量は年産1513万㌧(19年度)で、石油化学プラントで合成され米国、中国、日本が全体の約50%を生産している。合成ゴムにおいては、ホースマジュール(不可抗力)として原料不足が発生。シリコンゴムを例に挙げ、その原因について説明した。シリコンゴムの材料は金属ケイ素であり、最近ではその金属ケイ素が高騰。21年まで㌧当たり2000㌦程度であったものが、その翌年辺りで1万㌦以上に跳ね上がった。金属ケイ素自体は自然の鉱石ながら、シリコンゴムに加工するためには電気炉において溶融・還元する必要があり、この過程で電気を大量に使用。「金属ケイ素の状態では量的確保は容易ながら、電気代がとてつもなく大きい。それは金属ケイ素自体の価格を上回る」(梅﨑氏)。従来は電気代の安価な国で生産され、全体の66%を中国が賄ってきたが、最近では中国も電力不足。国策によって、大量にCO2を発生する石炭発電によって安価に電力供給できないことから、シリコンゴムの高騰は継続するものと見られている。

引き続き、プラスチックの基礎については、同社の営業技術部技術グループの高橋航也氏が解説。世界各国のプラスチックの生産量の推移は13年が約2億5000万㌧であったものが、18年になると3億5000万㌧を超えるまでに増大。特に中国の伸びが著しく、約5000万㌧程度であったものが1万㌧を超えるまでに倍増した。プラスチックは原油を蒸留し、沸点の差を利用してナフサ・灯油・重油など成分ごとに分離。このナフサから熱分解によってエチレンやブタジエンなどといった石油化学基礎製品が取り出され、化学反応を経てプラスチックに加工する。製品化にあたっては、可塑剤や難燃剤、安定剤などといった添加剤を加えることで機能性向上や欠点を補う。今後の展望としては「海洋プラスチックごみ問題が取りざたされるようになり、生物由来のバイオマスプラスチックや、生分解プラスチックが一段と脚光を浴びていく」(高橋氏)と予測した。