2022年4月25日

ブリヂストン
ランザテックとパートナーシップ締結

使用済タイヤリサイクル技術開発へ向け

ブリヂストン(石橋秀一CEO)の米州グループ会社であるブリヂストンアメリカス(以下、BSAM)は、ランザテック(ジェニファー・ホルムグレンCEO)との間で、使用済タイヤのランザテックの革新的なリサイクル技術の開発に向けた独占的パートナーシップを締結した。ブリヂストングループは二酸化炭素をエネルギーや化学品に転換する独自の技術を備えたランザテックとのパートナーシップによる共創を通じて、バリューチェーン全体でカーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みを加速させていく。

世界のタイヤメーカー大手10社によって組織され、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)傘下にあるTIP(タイヤ産業プロジェクト)によると、世界では毎年およそ10億本のタイヤが再利用されることなく、その役割を終えると推定。この課題に対し、ブリヂストングループとランザテックは共創パートナーとして、使用済タイヤを再生資源として新たな原材料へリサイクルし、再利用する資源循環システムの構築に取り組む。

ブリヂストングループとランザテックは、使用済タイヤをリサイクルして原材料に〝戻す〟新たなビジネスモデルの構築を共同で進展、再生資源の普及を促進していく。具体的には、ランザテックの持つ炭素回収およびガス発酵技術を用いて、使用済タイヤからエタノール等の化学品を製造、項目としては、包装用の樹脂などの用途で使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)があり、ペットボトルを中心に食品用の容器や合成繊維としてフリースなどにも使用されており、耐熱性や耐寒性、強度に優れ、透明度が高いといった特性を持つ。このほかポリエステル糸、洗濯洗剤など日用品に使用される界面活性剤などの原材料としての再利用に向けて取り組む。さらには、使用済タイヤから、タイヤの材料の一つである合成ゴムの素原料となるブタジエンを製造する目的から、独自の微生物を用いた発酵技術の開発に向けて共同で探索を進める。これらの活動により、使用済タイヤを新品タイヤの原材料に〝戻す〟資源循環の実現を目指す。

米国イリノイ州に本社を置くランザテックは廃棄物から炭素を回収、それを再生資源として燃料、繊維、包装材などに再利用している。その技術を通じて数多くの再生資源を生み出しており、日常生活のあらゆるものが石化原料由来である必要がない未来を目指している。従来の炭素の利用方法を見直し、変革の推進を通じて炭素の放出を容認することなく再利用し、それによって空や海がきれいに保たれ、環境汚染が過去のものとなる新たな炭素循環型経済の実現をゴールとしている。

ブリヂストングループはさまざまなパートナーとの共創を通じて、バリューチェーン全体でカーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーの実現とビジネスモデルの連動を推進。サーキュラーエコノミーについては、2030年に再生資源・再生可能資源に由来する原材料比率を40%に向上させ、50年に100%サステナブルマテリアル化に挑戦している。その一環として昨年、仏ミシュラン社とマテリアル・サーキュラリティに貢献する再生カーボンブラックの利用拡大について共同発表、本年2月には、ENEOSと〝使用済タイヤの精密熱分解によるケミカルリサイクル〟技術の社会実装に向けた共同プロジェクトを開始している。

BSAMのパオロ・フェラーリCEO兼プレジデントは「ランザテックと使用済タイヤのよりサステナナブルな利用に向けた取り組みができることをうれしく思う。使用済タイヤを新たな再生資源として原材料に戻し、資源循環を実現するためのサステナブルなイノベーションに強い意志を持って取り組む」とコメント。

ランザテックのホルムグレンCEOは「ブリヂストンとのパートナーシップを通じて、使用済タイヤを使って新品タイヤを作る資源循環システムの実現に取り組んでいく。このパートナーシップは、われわれがともに目指す〝環境汚染が過去のものとなった未来〟へとつながると考えている」と提携によってもたらされる成果への期待のほどをコメントに込めている。