2022年4月25日

豊田合成
環境対応のCNF強化プラ

車の内外装部品向け

豊田合成(小山享社長)は、自動車部品のライフサイクル(原材料調達、生産~リサイクル・廃棄)でのCO2削減に向け、植物を原料とした「セルロースナノファイバー」(CNF)を配合したCNF強化プラスチックを開発した。セルロースナノファイバーとは木材などの繊維を㌨㍍(100万分の1㍉㍍)単位までほぐした素材で、今回の開発は環境省ナノセルロースプロモーション事業の一環。CO2削減を目的に、さまざまな製品の基盤となるプラスチックをCNFで補強した材料の早期社会実装に向けた取り組みを推進している。

CNFの特長は、鋼鉄の5分の1の軽さで5倍の強度を保有。プラスチックやゴムに配合して補強材として用いることで、製品の薄型化・発泡成形が容易となることから〝軽量化〟につながり、自動車においては走行時のCO2削減に寄与する。廃車後に材料を再利用する段階においては、加熱によって溶かしても強度が低下しにくいことから、自動車部品へのリサイクルが可能。加えて、焼却しても原料の植物が育った際に吸収した分のCO2しか発生せず、〝CO2総量が増えない素材〟となっている。脱炭素・循環型経済を目指す上で有効なCNFの特長を生かす目的から、同社では製品の環境性能を高められる材料開発を進めている。

今回開発されたCNF強化プラスチックは、車の内装や外装に使われる汎用樹脂であるポリプロピレンにCNFを20%配合。実用化に向けては、CNF配合時の耐衝撃性の低下が課題であったものの、材料の配合設計や混練技術などを用いることによって、自動車部品に活用できる水準に高めた。今後、CNF素材メーカーなどとも連携し、コスト低減などを進めていく。