2022年5月10日

日本ゼオン
2022年3月期決算説明会

売上高、利益ともに過去最高達成

日本ゼオン(田中公章社長)は4月27日、Zoomミーティングにより、2022年3月期の「決算説明会」を行った。それによると売上高は前期比19・8%増の3617億3000万円、営業利益は同33・0%増の444億3200万円、経常利益は同27・9%増の494億6800万円、当期純利益は同20・6%増の334億1300万円となり、売上高も収益面も過去最高を達成した。配当についても、前期の1株当たり22円から28円へと6円の増配を決定した。説明会には田中社長、取締役執行役員の松浦一慶基盤事業本部長、常務執行役員の曽根芳之管理本部長、執行役員の小西裕一郎高機能事業本部長が出席した。

「前期第4四半期の実績が同第3四半期よりも大きな伸び率を示し、前年同期比でも増収増益を達成し、当期の好調な業績へと押し上げた」(松浦取締役執行役員)。

セグメント別では、エラストマー素材事業部門の売上高は前期比24・1%増の2005億6600万円、営業利益は同51・6%増の186億2300万円。営業利益における増減要因は原料価格の影響などで280億円、海上運賃上昇や修繕費増、間接部門費用配賦増などの影響などによって91億円のマイナス要因があったものの、販売価格改定により353億円、合成ゴムの出荷量増で33億円、為替差益で63億円の利益押し上げ要因があったことで利益を伸ばした。

合成ゴム関連では、自動車減産の状況下でも依然として需要は底堅く、国内販売、輸出販売、海外子会社のいずれも好調に推移。合成ラテックス関連では、総じて需要が堅調であったことから、全体の売上高は前期の水準を上回ったものの、医療・衛生用手袋向け市況の沈静化と原料および物流費高騰の影響が重なり、営業利益は伸び悩んだ。化成品関連では、年間を通じて需要は堅調に推移したものの、水島工場およびタイ子会社の定期検査による出荷調整に加え、輸出コンテナの不足、船繰り難の影響なども重なったことで販売数量は減少。一方で原料および物流費高騰分の価格転嫁が進んだことから、全体では前期の水準を上回った。

高機能材料事業部門の売上高は前期比11・9%増の1067億9100万円、営業利益は同20・0%増の263億6000万円。営業利益における増減要因は、海上運賃上昇や新規開発費用の増加などによる15億円のコストアップがあったものの、光学樹脂や電池材料の出荷量増による効果で22億円、光学樹脂や化学品販売価格の改定により15億円、為替差益で14億円、生産増に伴う製造固定費減少ならびに原価低減などにより8億円の増益要因があったことで利益を伸ばした。

高機能樹脂関連では、半導体不足の影響によりスマートフォンやタブレット向けの出荷が伸び悩んだものの、大型テレビや医療用途向けの需要は底堅く、光学樹脂、光学フィルムともに販売が堅調に推移。高機能ケミカル関連では、半導体不足による顧客の在庫調整、輸出コンテナ不足などによる影響を部分的に受けたものの、総じて需要は堅調に推移した。光学樹脂の状況(出荷量)は、前期比8%増で、このうち光学用途向けは半導体不足によってプリンター向けの需要が鈍化したが、セキュリティカメラ向け需要が堅調に推移したことで同12%増となった。医療、その他向けについては、プレフィルドシリンジなどといった医療包装容器向けの需要が堅調で、生産・物流要因による前期出荷減分をまとめ出荷した結果、同5%増と伸びを見せた。光学フィルムの状況(同)は同4%増。このうち中小型向けは、スマホ向け需要の端境期にあり、タブレットの減産もあって出荷量が減少したことで同8%減。しかしながら今期の第1四半期に次期モデルの立ち上げ予定があり、需要回復が見込まれている。大型向けについては、中国市場向けを中心に需要を堅調に伸ばしており、同8%増。液晶パネル市場状況変化による同社フィルムへの影響は軽微にとどまると見られている。

電池材料の状況(同)は、全体で前期比45%増。このうちEV向けは中国・欧米向けを中心にEV・PHV市場が拡大したことで需要が堅調に推移し、同77%増となった。民生他向けは、家電およびモバイル端末向け需要が一服感を継続中。産業用途は前四半期比でも出荷は増加しており、22年度も需要は堅調に推移している。

その他の事業部門については、子会社の商事部門などの売り上げが前期を上回ったことで、売上高は前期比23・1%増の578億2200万円、営業利益は同7・5%増の23億1800万円となった。

今期については、半導体不足の深刻化や原料および物流費の高騰による影響など、不確実な状況が続くものと予想されることから、売上高は前期比10・6%増の4000億円、営業利益を同2・4%増の455億円、経常利益を同3・0%減の480億円、当期純利益を同3・3%増の345億円と見込んでおり、経常利益以外は前期実績を上回る計画。配当についても1株当たり36円を計画しており、前期に対して8円増と増配幅も大きくなっている。