2022年5月15日

2022年3月期「決算説明会」を開催
ニッタ

各項目で過去最高に
好業績受け最高配当を予定

ニッタ(石切山靖順社長)は5月13日、大阪市浪速区の同本社において「決算説明会」を開催した。前期の業績は「前年度は、持分法適用会社の業績が好調であったこともあり、好業績に貢献した。コロナ禍前の2019年を上回っており、さまざまなコストアップ要因をもしのいだことで、良好な結果が得られた」(石切山社長)。当初予想値をも上回っており、同社では4月22日に業績予想の修正と配当予想の修正を実施。修正値をも上回った当期の売上高は、当初予想値を約37億円上回る837億3400万円(前連結会計年度は786億9700万円)となった。前期より「収益認識に関する会計基準、以下、収益認識会計基準」等を適用したことにより、売上高は額面的に69億7100万円減少。実際は907億500万円となり、過去最高の売上高を達成した。損益面については、営業利益が前期比86・5%増の53億3700万円(予想値比約3億円増)、経常利益は同123・2%増の131億9300万円(同約11億円増)、当期純利益は、同122・1%増の104億8900万円(同約7億円増)となり、経常利益、当期純利益ともに過去最高益となった(営業利益は過去2番目)。経常利益は、持分法適用会社の主要需要業界である半導体業界向けが好調に推移。前年と比較し、自動車業界向けなどが回復したことにより収益を大きく伸ばした。持分法投資損益は72億7100万円(2021年3月期は27億7000万円)で、持分法適用会社であるゲイツ・ユニッタ・アジア、ニッタ・デュポンのいずれもが大きく貢献した。

売上高は、国内が前期比13%増と好調に推移した一方、海外市場での売り上げの伸びも著しくアジア地域で同26・9%増、欧米が同24・5%増となり、海外売上高比率も前期比2・7㌽上昇し、30・5%となった。原材料高騰による影響として3億円、運送費の上昇による3億円のマイナス要因があったものの、為替面はプラスに働いた。好業績を受け、1株当たりの配当額を前期比30円増の100円(予定値比15円増)を計画しており、過去最高の高配当を予定している。

セグメント別では、ベルト・ゴム製品事業の売上高は259億1500万円(前連結会計年度は269億3700万円)、セグメント利益は同94・8%増の36億5500万円。収益認識会計基準等の適用により、売上高は額面的に68億8300万円減少しており、従来の会計基準では、327億9800万円となり、過去最高を更新した。国内では、物流業界向けが好調に推移し、工作機械向けも回復傾向。海外では、物流業界向けや繊維業界向け等が好調に推移した。

ホース・チューブ製品事業の売上高は321億1300万円(前連結会計年度は267億7600万円)、セグメント利益は同69・1%増の15億2600万円。収益認識会計基準等の適用により、売上高は2400万円減少している。国内では、半導体製造装置向けや建設機械向けが好調に推移、自動車業界向けは半導体不足による生産調整等の影響を受け、年度後半に減速した。海外では、アジア圏で建設機械向けや半導体製造装置向けが好調に推移した。

化工品事業の売上高は121億5300万円(前連結会計年度は120億7000万円)、収益認識会計基準等の適用により、売上高は6400万円減少している。セグメント利益は、鉄道部品に関する製品補償引当金を計上したことから、8400万円の損失(前連結会計年度比1億6100万円の減少)となった。国内では、鉄道部品、海外では、OA機器向け製品が堅調に推移した。

その他産業用製品事業の売上高は97億6300万円(前連結会計年度は94億1900万円)、セグメント利益は同193・4%増の2億2300万円。空調製品は、半導体業界向けや測定器の需要が堅調に推移した。

不動産事業については、コロナ禍による一部テナントの退去や賃料改定があり、売上高は8億1100万円、セグメント利益は同14・5%減の2億2300万円となった。

経営指導事業は、経営指導の対象となる関連会社の業績が好調に推移した結果、売上高は16億4500万円、セグメント利益は同15・6%増の14億5700万円となった。

自動車運転免許教習事業や、北海道における山林事業で構成されるその他の事業の売上高は13億3200万円、セグメント利益は同273・4%増の1億1700万円となった。

今期については、同社を取り巻く環境として、好調に推移することが見込まれる物流業界や半導体業界など明るい材料はあるものの、地政学的な影響などによる売上高の減少、さらなる原材料価格の高騰、物流コストの上昇などによる業績の下振れリスクを警戒。同社グループでは、中長期経営計画「SHIFT2030」の2年目として、目標の達成に向けてチャレンジしていく。売上高は前期比2・7%増の860億円と増収するとみているが、原材料費や物流コスト、ユーティリティの高騰などを踏まえ、営業利益は同0・7%減の53億円、経常利益は同6・0%減の124億円、当期純利益は同4・7%減の100億円を見込んでいる。