2022年5月15日

2022年3月期「決算説明会」を開催
デサント

収益面が大幅に改善
黒字化、日本事業盛り返す

デサント(小関秀一社長)は5月12日、ウェブを通じて「決算説明会」を開催した。会見には小関社長、土橋晃取締役常務執行役員が出席。当期の売上高は前期比12・4%増の1088億9200万円、営業利益は51億3800万円(前年同期は18億600万円の損失)、経常利益は75億5600万円(同5億8400万円の損失)、当期純利益は同23・6%増の62億2900万円となり、収益面が大幅に改善され、黒字化を果たした。売上高の増加に加え、日本事業に注力した結果、日本セグメントの収益性が大きく改善。総利益は前年同期比18・8%増の605億7800万円となった。

販管費が同5・0%増の554億4000万円へと増大。日本では積極的な販売促進活動を実施しており、アドバイザリー契約を結んでいる大谷翔平選手を活用したプロモーションを実施、店舗のリニューアルオープンなどに伴う広告販促費が増加したほか、同様に日本におけるDTC拡大に伴う新規店舗出店による地代家賃が増加した。また韓国での増収に伴う販売手数料も増えた。しかしながら売上総利益の増加が販管費の増加を上回ったことで、営業利益の収益改善、中国の持分法適用関連会社からの取込利益が寄与したことで営業外収益が増加、経常利益も黒字回復。当期の第3四半期において、大阪本社の事務所売却益を含む17億4400万円の特別利益を計上。前期ではDCH再編に伴う持分変動利益を含む61億5000万円という大きな特別利益があったものの、経常利益の増加が特別利益の減少分を上回った結果、当期純利益は前期実績を2ケタ水準で上回った。

セグメントについては、会社の所在地を基礎として、国や地域に分類。デサントから中国の合弁会社への売り上げは日本セグメントにカウントされている。中期経営計画「D―Summit(ディーサミット)2023」において、〝日本・韓国・中国地域別戦略の実行〟〝日本事業の収益改善〟〝モノづくりの強化〟を重点戦略として掲出。3つの市場で安定的に収益を上げる体制構築を目指している。その初年度にあたる当期は、日本事業の収益改善にむけたDTC事業の強化に注力。社内の経営指標をこれまでの売上重視から営業利益額・在庫月数といった収益性重視に変更するなど、従業員のマインドセットの変化を推し進めた結果、年間を通して返品・値引きといった販売ロスを抑制、日本のセグメント利益が大幅に改善した。同様に重点戦略として掲げている日本・韓国・中国での地域別戦略の実施について、韓国ではシューズが売り上げをけん引、売り上げ・利益ともに回復基調をたどっている。中国においても、規模拡大に向けて同社の連結子会社および持分法適用関連会社がともに増収増益を達成。同社の売上高は主要セグメントである日本・韓国・中国において増加した。第4四半期会計期間においては、韓国で暖冬の影響による重衣料の売上が低調に推移、中国での新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の拡大に伴い店舗の休業はあったものの、いずれも売り上げへの影響は軽微にとどまっている。

セグメント別の業績は、日本におけるセグメント売上高は前期比8・6%増の511億3300万円、セグメント利益は32億6200万円(前期は17億6700万円の損失)。店頭では第3四半期会計期間において新モデル「アルパイン」の発表会やコラボレーション等のプロモーションを実施した同社の主力商品である「水沢ダウン」が好調だったほか、1月以降も気温が低かったことから重衣料の売り上げが堅調に推移した。冬物の店頭消化が順調に進み、商品量のコントロールを強化したことから春物の投入を効果的に実行、春夏商品の立ち上がりが好調だったほか、自社ECの売り上げも伸長した。ブランドでは「デサント」が継続して売り上げが好調に推移。「アリーナ」においても商品に対するトップスイマーからの信頼を得たことで、国際大会での着用率も上がり、ブランド認知が進んだことで売り上げが大きく伸長した。収益面についても、DTC拡大に伴う地代家賃など、販管費は増加したものの売り上げおよび売上総利益の増加が販管費の増加を上回った。

韓国の売上高は同16・4%増の537億2600万円、セグメント利益は14億7600万円(前年同期は1100万円の利益)と大幅に改善した。同社の研究開発拠点であるDISC BUSAN(ディスクプサン)で開発したランニングシューズ「ENERZITE(エナザイト)」、ゴルフシューズの「R―90(アールナインティ)」が好調に推移、「アンブロ」の売り上げが前期比86・0%増と引き続き伸長しており、暖冬の影響で主力商品である重衣料の売り上げが苦戦したものの、増収増益を達成した。

中国の売上高は同18・7%増の40億3200万円、セグメント利益は3億8400万円(前年同期は4800万円の損失)となり、黒字化を果たした。上海デサント商業においてアリーナの売り上げが大きく回復、各ブランドの「独身の日」におけるEC売り上げが好調に推移した。新型コロナの感染拡大に伴う局所的な店舗休業および第1四半期会計期間で実施した香港デサント貿易の東南アジア卸売事業の日本への移管による売り上げの押し下げ要因をまかなった。売上高の増加に加え、香港デサント貿易の収益性が改善されたことで利益も伸ばした。

通期については売上高を前期比4・7%増の1140億円、営業利益を同16・8%増の60億円、経常利益を同32・3%増の100億円、当期純利益を同12・4%増の70億円を見込んでいる。