アキレス
Achilles THE NEXT
新製品、未来見据えた取り組み披露
防災事業部の出展に注目集まる
アキレス(伊藤守社長)は5月18、19日の両日、東京都新宿区のベルサール新宿グランドにおいて「Achilles THE NEXT(マテリアル&プロダクト展2022)」を開催した。同社の多彩な技術・製品を展示し、趣向を凝らしたデモンストレーションやプレゼンテーションを通じて各事業部の取り組みを紹介するもので、今回は「FUN+TEC!技術を楽しみ、驚きを生む。」をテーマに設定。〝顧客の身近なソリューション企業であり続けたい〟という思いを込めて、現在、同社が展開する新製品や未来を見据えたさまざまな取り組みが披露され、今回は昨年10月に立ち上げた防災事業部の出展も大きな注目を集めた。
メーンテーマとして掲げられた〝FUN+TEC!技術を楽しみ、驚きを生む。〟に表現されている通り、展示会場は「FUN ZONE」「+(PLUS) ZONE」「TEC ZONE」の3つのエリアに区分。FUN ZONEではシューズ事業部、建装事業部、車輛資材事業部、断熱資材事業部が〝暮らしに楽しさと豊かさ彩る〟製品群を展示し、〝社会のマイナスをプラスに変える〟PLUS ZONEでは防災(防災対策商品)事業部、防災(インフラ資材)事業部、研究開発本部が社会的課題の解決に向けた取り組みと製品を紹介した。また、〝技術で新たな価値を創造する〟TEC ZONEでは化成品(フイルム)事業部、化成品(農業資材)事業部、ウレタン事業部、工業資材事業部、三進興産がウイルス感染対策を目的とする製品や高機能と環境性能の両立を図った製品をアピールするなど、来場者は同社の技術の粋を集めた多彩な製品をくまなく体感することができた。
会場に設けられた3つのステージでは、各事業部がさまざまな分野で活躍する独自の技術や製品に関するプレゼンテーションを展開。会場中央を占めるPLUS ZONEに位置するセンターステージでは同社首脳陣からのメッセージ動画も上映され、映像の中で伊藤社長は「本展示会は当社の幅広い製品・素材・技術を紹介するとともに、ご来場頂いた皆様の知恵もお借りして新たな可能性を開き、ともに次の高いステージを目指していきたいという思いが込められている。プラスチックという無限の広がりを有する素材を、環境対策に力を入れながら可能性を極大化していくことが当社の使命だと考えており、展示やプレゼンテーションを通じて、その可能性と当社のものづくりに対する姿勢を感じ取って頂きたい」とあいさつ。また、6月29日の株主総会を経て社長への就任が予定されている日景一郎専務は「当社では高い社会性を有する企業であることを信条としている。社会的課題の解決に向けた取り組みを事業戦略の柱に据えており、その象徴として防災事業を立ち上げ、本展でも大きく取り上げている。既にレスキューボートやエアーテントなどの災害対策製品はマーケットをリードするポジションに立っていると自負しており、これらを軸に新商品の開発と新たな提供方法の拡充を図り、被災された方はもとより災害現場で活動する方たちへの支援、企業のBCP対策などについてもサポートを行っていく。今後、〝防災のアキレス〟というフレーズを浸透させていきたい」と現在、注力している事業の方向性を語った。
各事業部の出展内容の概要は次の通り。
『FUN ZONE』
【シューズ事業部】
自社開発による独自の素材「アクロフォーム」を活用したシーンごとに異なる取り組みを提案。働く人をサポートする〝疲れにくい〟パンプスや職域シューズのほか、温室効果ガス削減に向けたシューズのSDGsへの取り組みも紹介。また縄飛び7重飛び世界記録保持者の森口明利氏が8重飛びに挑戦した時に使用したアクロフォーム搭載の特別開発のシューズなども展示されていた。
【建装事業部】
医療・商業施設向けの機能性床材や糊付け不要で施工性の高い「粘着ビニル壁紙」のほか、床材および壁紙のような複合素材を、分離しないで再生原料に用いたリサイクル複層床シートなどを提案。
【車輛資材事業部】
フレームラミネートができるウレタンフォームを基布として生産することで材料・工程を削減するなど環境配慮型の生産工法で生産される車輛内装資材や、耐熱性の高い素材を使用することで高温下の表皮一体インジェクション成形でも特徴的な触感を維持することができるラミネート複合材などを出展。
【断熱資材事業部】
外張り断熱工法を応用し、外壁を壊さずに戸建て住宅の断熱改修を可能にした画期的な新工法などを紹介。施工者の手間も低減される上、産廃ゴミも削減。また住む人にとっても工事における引っ越しや家具の移動が不要なためメリットが高い。
『+(PLUS) ZONE』
【防災(防災対策商品)事業部】
地震、洪水など自然災害発生時に貢献する多くの製品を展示した。会場中央部では約10分で立ち上がる特殊エアーテントのデモンストレーションも実施。ほかにも新開発のレスキューボート、避難所向けの備蓄用マットレス、エアー気柱を使用した簡易間仕切り、持ち運びが容易で広げるだけで使用できる携帯マットレスなどを紹介。同社では「災害時応援協定」を発祥の地である足利市と締結しており、現在、国内各地での締結に向けて活動を推進している。
【防災(インフラ資材)事業部】
インフラ分野における社会的課題の解決に向けた製品を展示。トンネル補修で使用する発泡ウレタンのデモンストレーションを実施したほか、歴史的文化遺産の石垣などに適した補強工法や地震の揺れから積載物を守る室内用小型免震装置、工事現場の騒音軽減に寄与する吸遮音パネル、使用後の廃棄物の削減に向けた生分解性のシートなどを紹介。
【研究開発本部】
独自のナノ分散ポリピロール液を用いためっき処理技術を活用した〝薄型ノイズ抑制シート〟や、ワイヤレス充電とモバイル決済機能を付与した機能性デスクマットなどを出展。ほかにも開発中の技術として独自素材アクロフォームの特性を生かした疲労軽減効果を有する作業用屋外マットなどを紹介した。
『TEC ZONE』
【化成品(フイルム)事業部】
環境対策製品としてバイオプラスチックを使用した軟質フイルムをはじめ、建物内の安全性を高める不燃性の透明帯電防止フイルム、ウイルス感染対策用途のフイルムなどを出品。
【化成品(農業資材)事業部】
高い耐久性を持つ施設園芸・土木用の生分解性フイルムのほか、土壌の保湿性をアップさせる農業用マルチフイルムなどを展示。ドローンを使用して農業用ハウスに吹き付けを行う遮光剤なども出展。
【ウレタン事業部】
SDGsに貢献する製品として、高機能と軽量化を両立させた炭酸ガス発泡による「クリーンフォーム」など環境対応型の新素材を展示。ほかにもコロナ対策に役立つ抗菌効果を有する難燃機能付きの高弾性フォームなどを紹介した。
【工業資材事業部】
静電気対策技術としてさまざまなプラスチックに導電性を付与することができる「STポリ」や、RIM成形品の自立移動ロボットへの新規採用事例などを紹介。またRIM成形における地球環境に優しい新原料ジシクロペンタジエン樹脂を使用した提案や、旭化成の変性PPE発泡成形品との複合成形品なども参考出品した。
【三進興産】
衝撃吸収力と圧力分散性を兼ね備えた独自素材「ソルボセイン」を使用したサポーターやインソールなどを紹介。介護分野での展開を視野に置いたベッドからの転落に備える衝撃吸収保護マットも参考出品。