2022年7月5日

西部ゴム商組
「ベルト商工懇談会」開催

ベルトエンドレス加工で協議白熱

西部工業用ゴム製品卸商業組合(小島孝彦理事長)は6月29日、大阪市北区の中央電気倶楽部において「ベルト商工懇談会」を開催した。組合から13人、メーカー側から3社4人が出席。組合のベルト部会(本田裕治部会長)からは最近の市況などの情報発信が行われたほか、商業者における要望事項などが提示された。商工懇談会では、メーカーによって生産状況・市況などといった基調的な説明が行われた後、商工を交えた活発な質疑応答が交わされた。特にベルトエンドレス加工が抱える問題において協議が白熱し、〝建設業法〟にかかわる課題解決に向けての建設的な話し合いが行われた。

懇談会に先立ち、小島理事長(角一化成社長)があいさつ。「本日、商業社アンケートに基づく市況報告を行うが、今年3月までの業況が反映されたものであり、現状に照らし合わせると違和感もうかがえる。世の中は混とんとしており、3月までの集計結果では前向きに好転する気配を漂わせているが、現状においてはスムーズな流れではないようなムードにある。サプライチェーンがうまく機能していない状況から、さまざまな業界がモノ不足の状況に立たされているが、しかしながらその一方で、在庫が積み増しされているという真逆な事態も起きている。モノ不足によって影響を受けている象徴的な業種である自動車メーカーにおいても、在庫がかさんで困惑している一面がある。モノ不足によって思惑通りの製品を生産できない状況に置かれていることから、需要過多の状況にありながら、実態としては製品面で消費者の心をつかむことができていない。サプライヤーだけでなく、消費者にとっても不幸な事態であり、少しでも早く健全な状況に戻ることが望まれている。ベルト業界においてはそういった事態に陥ることのないように取り組み、商工と手を取り合って活況を呈するようにもっていきたい。そのためにも、今日の商工懇談会を有意義な会合にしていきたい」と述べた。

糸井宏之事業委員長(千歳商事社長)が司会進行役を務めて議題の内容に移行。「第25回ベルト流通動態調査」の結果については、同組合の三谷正美専務理事が概要報告。昨年10月~本年3月の6カ月の期間を対象としたアンケート調査で、31社が回答。設問1の最近6カ月間の売上推移については伝動、搬送ともに〝ほぼ順調(105%程度)〟〝横ばい(100%)〟が大勢を占めており、価格推移は〝あまり問題ない〟〝まあまあ〟が多くの割合を占めている。特記情報としては、今後の価格状況の推移が不透明、各社値上げ、原材料の高騰で販売価格、仕入れ価格ともに上昇傾向、各ベルトメーカーの値上げに苦慮している、特にゴムコンについて、メーカー各社の値上げの足並みがそろわず、価格差が大きい――といった声が寄せられた。

設問2の売り上げ予測については、〝今後は横ばい〟〝年率5%程度伸長〟が大勢を占めており、価格予測は〝あまり問題ない〟〝まあまあ〟が主流を占めている。設問3の月平均品種別売上高については、〝50万円未満〟〝50万円以上~100万円未満〟〝100万円以上~300万円未満〟、全ベルト全品種合計の月平均売上高については、500万円未満~3000万円以上、4000万円未満に集まっており「バラつきはあるものの、従来からの大きな変化は見られない」(三谷専務理事)。ベルト全品種合計の売り上げは売上高の何%にあたるかという設問に対しては「30%未満が全体の7割程度を占めており、減少傾向にある」(同)。ベルト在庫の問題点については、〝Ⅴベルトのサイズが多すぎて困る〟〝歯型ベルトのタイプ、サイズが多すぎて困る〟〝歯型ベルトのプーリーは特殊仕様の製作品が多いため、標準品の販売を普及させる必要がある〟という意見が多く寄せられ、品種やサイズへの課題を掲げる回答が多かった。このほか〝メーカーの納期が長すぎる〟〝ゴムコンの輸入品が海上輸送の遅れなどによって納期が延びている〟という意見も寄せられた。

設問5の輸入ベルトの取り扱いについては〝まったく取り扱っていない〟、もしくは〝5%以内〟がほぼ全体を占めており、価格や品質が国産品と比較して〝あまり変わらない〟という状況が背景にあると見られる。ベルトの販売上の問題点については〝競合先が多すぎる〟〝価格競争が激しい〟〝取引単位が小口〟〝急ぎの配達・配送が多い〟という悩みが目立っていた。このほか〝現場エンドレスに手間と時間がかかりすぎている。その割には出張単価が取れていない〟という課題が寄せられ、現場エンドレスを取り巻く環境については、質疑応答の場で活発な意見が交わされた。

引き続きバンドー化学産業資材事業部営業部の庄司直人部長がベルト市場を取り巻く概況を報告。需要業界を見渡すと工作機械、半導体製造装置などの好調が続いており、工作機械は右肩上がりが続いている。2021年から上り調子になっており、22年は受注に対して供給が追い付いていない状況。ロボットについても省人化や省力化の流れから、成長分野として有望であり、半導体関連も衰える要素が見えない。設備投資も各業種でおう盛に行われている。樹脂ベルトについては、食品分野において食の安全が強く求められる傾向が強まっており、このニーズへの対応は日本製品の強みであることから、堅調に推移するものと見ている。物流もインバウンド需要の回復やEコマース市場の急激な高成長により、まだまだ伸びる気配を漂わせている。しかしながら「全体的に見ると微増で推移すると見られ、業種によってバラつきがあることから楽観視はできない」(庄司部長)としている。