住友ゴム
天然ゴム合成酵素の部位を特定
自然界にないバイオポリマー合成
住友ゴム工業(山本悟社長)は、東北大学の高橋征司准教授、金沢大学の山下哲准教授、埼玉大学の戸澤譲教授らと共同で、天然ゴムの鎖長制御に重要な天然ゴム合成酵素の部位を特定した。加えて、この天然ゴムの鎖長制御に重要な部位をトマト由来酵素に組み込むことにより、自然界には存在しない構造のバイオポリマーの合成に成功した。今後も研究を進めることで、天然ゴムの収率改善や、タイヤ性能向上に寄与する天然ゴムの生産につながることに期待が寄せられている。
今回の研究グループは、同じ酵素グループに属しており構造が類似しているトマト由来の酵素(短鎖を合成)と、天然ゴムを合成する酵素(長鎖を合成)の構造を比較することで、鎖長に影響を及ぼす重要部位を発見。トマト由来酵素の重要部位を、天然ゴム合成酵素の重要部位と置き換えた改変酵素では、天然ゴムと同程度の鎖長のポリイソプレンを合成することを発見した。この改変酵素を用いることで、天然ゴム合成酵素とは異なる開始基質が利用可能となり、その反応生成物として自然界には存在しないバイオポリマーの合成に成功した。これらの研究成果は、6月27~30日にかけてドイツ・ニュルンベルクで開催されたDKT IRC2021で発表された。
同社では、今後においても天然ゴムの安定供給とともに、安全・安心で環境負荷の少ないタイヤの提供を通して、持続可能な社会の発展に貢献していく。
①通常の天然ゴムを合成
②トマト由来酵素では短鎖しか合成できない
③改変酵素を触媒とすることで、天然ゴムと異なる構造で、天然ゴムと同程度の鎖長を持つバイオポリマーの合成に成功