2022年9月15日

日本触媒
湖南福邦へ資本参画

中国でLiFSI事業拡大へ

日本触媒(野田和宏社長)は、リチウムイオン電池(以下、LIB)の最大市場である中国において、同社が世界で初めて商品化した高性能電解質としてのリチウム塩(LiFSI=リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド「イオネル」)の事業拡大に向け、LiFSI事業へ進出すべく製造設備立ち上げを進めている中国の深圳新宙邦科技股份(本社・深圳市坪山区、覃九三董事長、以下、Capchem)の子会社である湖南福邦新材料(以下、湖南福邦)へ資本参画することに合意した。

近年、環境問題への意識の高まりから省エネ・低公害の次世代自動車の代表的存在である電気自動車(EV)に対する需要は高く、EV向けLIB市場は急拡大している。LiFSIをEV向けLIBの電解質に使用することにより、低温~高温まで広い温度範囲で電池のサイクル特性、レート特性、保存安定性の向上に著しい効果を発揮することから、電解質として添加剤用に限らず主剤として採用され、LiFSIの需要がアジア・欧州を中心に急激に拡大しており、世界最大の車載用LIB市場である中国における早期の展開が日本触媒イオネル事業飛躍のカギとなっていた。

このような状況下、日本触媒はLIB最大需要地である中国において、大口顧客の獲得とコスト競争力を持つ製販体制を早期に確立するため、大手電解液メーカーであるCapchemならびにトヨタグループの総合商社である豊田通商(本社・名古屋市中村区、貸谷伊知郎社長)と協業を行うこととした。なお出資は豊田通商グループ会社で幅広い事業領域で主に貿易業務に従事している豊田通商(上海)(以下、豊通上海)より実施される。これにより、日本触媒の最先端のLiFSI生産技術・品質管理能力・知的財産権とコスト競争力ある湖南福邦の立地・原料調達力・生産体制・既存技術、Capchemのトップレベルの電解液供給能力に基づくLiFSI購買力および豊田通商の中国を含むワールドワイド販売網とを組み合わせ、電解質市場におけるイオネル事業成長の急加速を図る。

LiFSIは高純度化が困難な物質で、その生産や品質管理には高度なノウハウが必要とされるが、日本触媒はこれまで培ってきた独自の生産技術力を生かし、2013年に世界で初めて高純度で残存溶媒や副生物が少なく、安定した電気化学特性を示すLiFSIの工業的生産プロセスの開発に成功した。これまでに国内外で多くのリチウムイオン電池電解質として採用・認証実績を有しており、その用途は車載を中心に民生、定置など多岐にわたる。

Capchemは中国5拠点でLIB用電解液の製造を行っており、LIBトップメーカー各社への製品供給実績を持つ世界第2位のリチウムイオン電池用電解液メーカー。また同社は電解液製造だけでなく、原料である溶媒、電解質、添加剤の自製化により、価格競争力のある高品質な電解液事業を展開している。

豊田通商は急増する電解液ならびに電解質市場にこたえるため、中国だけでなく日本、アジア、欧州の電解液メーカーへグローバルにLiFSIの販売を進めていく予定。
 湖南福邦は今年下期に入り1号機(年間生産能力1200㌧)の生産を開始し、今後、急拡大する市場の需要増にこたえるため段階的に増強を図り、25年に1万2000㌧の年間生産能力保有を目指す計画を立てている。

今回、日本触媒および豊通上海が資本参画を行う湖南福邦の概要は次の通り。

▽所在地=中国湖南省衡陽市(石鼓区)
▽出資金(第三者割当増資)=日本触媒2億176万9912人民元(40億4000万円)、豊通上海2920万3539人民元(5億8000万円)
▽株主=Capchem51・19%、日本触媒38・0%、豊通上海5・5%、長沙鑫聯華源新能源合伙企業(湖南福邦幹部社員による持株会)5・31%
▽代表者=周平氏
▽事業内容=リチウムイオン電池用電解質LiFSIの製造・販売