2022年9月25日

アシックス
1・95㎏CO2eカーボンフットプリント実現

温室効果ガス排出量最少のスニーカーを開発

アシックス(廣田康人社長)は、温室効果ガス(カーボンフットプリント)排出量を最も低く抑えたスニーカー「GEL―LYTE Ⅲ CM(ゲルライトスリーシーエム)1・95」を開発した。このスニーカーは、同社が掲げる2050年までに事業における「温室効果ガス排出量実質ゼロ」の実現に向けた最新の取り組み。温室効果ガス排出量はわずか1・95㌔㌘CO2eで、現時点で温室効果ガス排出量が公表されているスニーカーの中では最少。発売は来年の予定。

この取り組みは、2010年のアシックスと米・マサチューセッツ工科大学による、製品ライフサイクルから排出される温室効果ガス排出量の測定および温室効果ガス削減方法に関する分析と改善策に関する共同研究からスタート。そこで得た知見を基に研究を重ねた結果、製品ライフサイクルにおける4つの主要段階である材料調達と製造・輸送・使用・廃棄で温室効果ガス排出量の削減策を特定し、材料調達や工程を改善することにより、商品の快適さや品質を損なうことなく、さらに高いレベルのサステナビリティを、温室効果ガス排出量が最少のスニーカーとして実現した。

温室効果ガス削減に向けた数々のイノベーションの中で特に注力されたのが、スニーカーのミッドソールと中敷に使用されている「カーボン・ネガティブ・フォーム」の開発。サトウキビ由来の原料が活用されており、サトウキビの成長過程でのCO2吸収量などがCO2排出量のマイナス要素となり、その量がフォーム材作製に必要なプロセスに由来するCO2排出量よりも大きいため、フォーム材としてカーボンネガティブを実現した。また、サトウキビなどを原料とした複数のバイオベースポリマー(クラレのセプトンBIO―シリーズを一部使用)の配合により、実質温室効果ガス排出をマイナスに保ちながら、履き心地が良く品質を損なわないフォーム材を完成させた。

主要なアッパーと中敷には、環境負荷の低いソリューションダイという技法で染色したリサイクルポリエステルを使用。30年までに100%リサイクルポリエステルに切り替える同社の目標を反映している。加えてアッパーの補強パーツには、廃棄ロスの少ないテープ形状パーツを必要量のみカットし折り返すなど、効果的に配置されている。これにより、材料の廃棄を最小限に抑えながらフィット感やサポート性を確保した。このほか、製造工程における再生可能エネルギーの利用、バイオ燃料を使った輸送や委託先工場でのリサイクル施策などがある。