東レ
「ルミラー」の生産能力増強
岐阜工場の生産設備を改造
現行比1・6倍、設備投資額は80億円
東レ(日覺昭廣社長)は、積層セラミックコンデンサー(MLCC)製造時の工程離型用ポリエステルフィルム「ルミラー」の生産能力増強を決定した。岐阜県安八群神戸町の岐阜工場の生産設備を改造し、生産能力を現行比で1・6倍に増強する。設備投資額は80億円で、2025年からの稼働開始を予定している。
MLCCはセラミックスの誘電体と金属電極を多層化したチップ型コンデンサで、通信機器、家電、自動車用など、電気で駆動するすべての機器に搭載。今後、通信分野での5G/6Gへの高度化や、電動化車両(xEV)の普及拡大に伴う搭載個数の増加により、年率10%以上の成長が見込まれている。
東レグループでは、MLCC離型用フィルムを三島・岐阜工場、マレーシアのPenfibre、韓国のToray Advanced Materials Koreaの3カ国4拠点で生産、世界ナンバーワンのシェアを占めている。今後のMLCC市場の拡大にいち早く対応する目的から、離型用フィルムの最大消費地である日本でのフィルム生産能力増強を決定した。
ルミラーは同社が長年のフィルム開発で培った技術を駆使して製造された極めて平滑なフィルムで、セラミック層を薄く、凹凸なく仕上げる上で、非常に効果があることから、多くのMLCCメーカーに採用されており、MLCCの小型・高容量化に貢献してきた。
新ラインはMLCC離型用フィルムの生産能力としては国内最大級であり、東レの既設ラインの品質高度化ノウハウを反映。将来の薄膜化、高平滑化などの市場要求を満たすことのできる仕様を追求した。現在取り組みを進めている使用済みフィルムを回収・再利用する循環型リサイクルへの対応も想定している。東レは、汎用品から高付加価値品、環境負荷低減グレードまで幅広いラインアップを生産し、顧客のさまざまなニーズに対応していく。
同社では、今回の岐阜工場での生産能力増強によって、より強固な安定供給体制の確立を図り、3カ国4拠点の生産体制によるグローバルオペレーションを強化することによって、通信や自動車用途で拡大するMLCCの需要拡大に対応していく。