2022年10月15日

【ホース・チューブ・継手特集】
クラレプラスチックス

高断熱性の空調換気ダクト
クラファインダクト

クラレプラスチックスが手掛けるホース事業の2022年12月期の上半期における業績は、販売および営業利益ともに前年同期の実績を上回り、計画比でもプラスとなった。しかしながら7月、8月の売り上げは前期比プラスとなったが、利益においては原材料価格の大幅な上昇によるコストアップが上期後半より本格化したことによる影響を受けた。

需要業界における市況は回復基調にあり、土木に関しては、ここ数年にわたって災害特需のスポット物件が増加。空調ダクトの分野についても、好調を維持している。高断熱性の空調換気ダクト「クラファインダクト」は今後、新築戸建て住宅の新省エネ基準適合に向けたZEH(ゼロエネルギー)住宅への適合義務化に伴い、伸長する分野であると分析。耐摩耗性を高めた圧送ホースのアップグレード製品で、ゴムから樹脂ホースへの代替を見据えて一段と軽量化が図られた新製品「ネオ・ホーマー CFライト」は、耐久性向上と作業者の高齢化に伴う流れにあって、軽量性というメリットが産廃市場などから高く評価されている。

新製品の投入や高付加価値化による展開については、新規開発だけでなく周辺部材の開発にも注力。最近になってカーボンニュートラルなどでサステナブルなエネルギーの利用が一段と重視されているが、大手住宅メーカーのカーボンニュートラルの取り組みに対しては、同社の換気・空調ダクト部材の住宅設置時の長期耐久性が高く評価されており、採用につながっている。土木や農業、林業分野のホースやダクトについては生分解性素材、バイオマス素材を用いた商品開発に取り組んでいる。

最近では異常気象による被害が一段と深刻化。防災・減災に向けた行政の取り組みに注目も高まっている。同社としては土木、災害対策に対応するため、客先の納期要望に対して、迅速なデリバリー体制の構築を重視。各拠点で在庫の拡充を行っている。

搬送費、原材料費の高騰が続いており、特に原材料費の大幅アップは、利益を大きく圧迫。上期に値上げを実施した。下期の値上げについても、8月以降順次実施しており、製品の安定供給と品質確保を担保できる適正価格の維持を図る。

今後の展開としては、社内ではWEBを駆使した会議などを実施しているが、営業活動はほぼコロナ前の状態に戻りつつあり、対面による業務の推進を重視している。ユーザーによってはWEBにおける面談も採り入れながら、ハイブリッドで顧客とのコミュニケーションの密度を高める。市場ニーズをくみ上げながら効果的なソリューションを提案できる営業活動を積極的に推し進めていく。

コロナ禍前に開設した「海外事業推進部」については、コロナ禍によって現地訪問の機会を喪失。WEB面談にとどまっていることから、現在はマーケティング戦略部として活動している。

今期については、売り上げは前期比で大幅なプラス、営業利益は微増と見込んでいる。コストアップに苦しめられている現在の事業環境にあって、価格改定による値上げの実施が直近の最重要課題となっており、適正価格への回帰に向けた取り組みに力を注いでいく。