日本ゼオン
高岡工場で統合生産センター竣工
各所分散のものづくり部門を集約
日本ゼオン(田中公章社長)は、富山県高岡市で稼働させている高岡工場(宮城孝一工場長)の統合生産センター(Integrated Production Center、インテグレーテッド・プロダクション・センター、以下、IPC)が竣工したと発表した。IPCは高岡工場における〝ものづくり〟の中核拠点として機能するだけでなく、屋上に設置した太陽光発電装置や省エネ対応設備の導入によりCO2排出量削減に寄与、自然災害対策も強化した施設となっている。各所に分散していたものづくり部門をIPCに集約することで生産におけるさまざまな情報が一元化され、より安定・安全な工場の実現を目指す。
今回竣工させたIPC(愛称・剱=ケンと呼び、剣と同じ意味)は、鉄骨鉄筋コンクリート造、990平方㍍の4階建てで、1階はコントロール室、2階は事務室、3階は会議室とサーバー室、4階は非常用発電機室が配置されている。総工費は16億円で、堅ろう性・信頼性を強化する目的から、震度7強以上に耐えられる強度を確保。液状化対策なども施されており、電源系統や情報系統の冗長化を図るとともに、近接する小矢部川、庄川の氾らんを想定した高岡市のハザードマップを基に、地盤面よりフロアを1・5㍍高くする構造を採用している。
地球環境に優しい建屋として、屋上に太陽光発電装置を設置、省エネ対応の空調・壁材などを導入することによって通常の建物よりも約40%のCO2排出量を削減する。
日本ゼオンでは2005年2月に生産革新センターを発足し、ダイセル式生産革新手法を導入。製造現場で働く人の意思決定や介入操作に着目した革新活動を進展。高岡工場では08年12月より生産革新の取り組みを開始、ものづくり部門(製造課、設備管理課、生産革新室)を集約し、〝自律的改善サイクルを回せる人づくり〟を進めている。今回のIPC竣工は、高岡工場における生産革新活動の中核拠点と位置付けられ、さらなる人づくりを加速させる期待が寄せられている。今後の拡張にも柔軟に対応できる配置を施したほか、働く社員にとって魅力的な職場づくりにも貢献する。
10月18日に現地において執り行われた竣工式には、富山県および高岡市ならびに周辺自治会から来賓を招いたほか、施工関係者、日本ゼオンからは田中社長、宮城工場長をはじめとする関係者合わせて34人が参加した。
日本ゼオンは中期経営計画の全社戦略の一つとして〝カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーを実現する「ものづくり」への転換を推進する〟を掲出。今回竣工したIPCはモノづくりの中心となる施設であり、日本ゼオンが今後持続可能なものづくりを実現していく上で重要な施設となる。日本ゼオンでは、今後も徹底した安定・安全生産を通じ、社会の期待にこたえる製品・サービスの提供に努めていく。