2022年11月5日

ミシュラン
サステナブル素材含有公道走行タイヤ発表

世界初45%、58%含有
乗用車用、バス用

ミシュラン(フロラン・メネゴーCEO)は世界初となる、サステナブル素材を45%含有した乗用車用タイヤと58%含有したバス用タイヤを発表した。これらのタイヤは公道走行承認済みで、現行タイヤと同等の性能を備えている。今回発表した2種のタイヤは、ミシュランが今後3年以内に開発する標準タイヤの未来像を示すもので、天然ゴムの割合を増量し、再生カーボンブラック、ヒマワリ油やバイオ由来樹脂、籾殻性シリカ、再生スチールを使用することでサステナブル素材の含有率向上を達成している。

同社は2030年に40%、50年には100%持続可能なタイヤを生産するという意欲的なゴールに向けて、現実的で具体的な取り組みを積極的に推進。タイヤの性能において妥協することなく、タイヤの設計・製造・輸送・使用・リサイクルというすべてのライフサイクルにおいて環境負荷低減に配慮する。

同社には、過去から培った知見と素材分野における3678件の有効特許を保有。ハイテク素材分野における6000人の専門家が業務に従事する研究開発部門全体を挙げて、50年に向けた目標達成に取り組んでいる。サステナブル素材におけるイノベーションのスピードや品質の向上を図るためには新しい技術が必要であり、パートナーシッププログラムに参加し、リサイクル分野で画期的な技術開発を加速するための情報交換を行っている。

同社のサステナブルに向けた他企業とのパートナーシップとしては、カナダのパイロウェーブとの提携によって、廃ポリスチレンからリサイクルスチレンを製造。スチレンは、ポリスチレンだけでなく合成ゴム製造に使用され、最終的には年間数万㌧のポリスチレン廃棄物を、元の製品やミシュランタイヤにリサイクルすることを目指している。

フランスの新興企業であるキャルビオでは、同社が開発したプロセスである酵素を使用することで、ペットボトルを元の純粋なモノマーに分解することによって使用済みペットボトルの繰り返し再利用を可能としているほか、モノマーにはリサイクル素材として、タイヤ製造に使用するポリエステルも含有。年間約40億本のペットボトルがミシュランタイヤにリサイクルされる可能性が見込まれている。

スウェーデンのエンバイロとは共同でミシュラン初となる、タイヤリサイクルプラントの建設に着工。カーボンブラック、熱分解油、スチール、ガスなど高品質の再生材料を使用済みタイヤから回収する特許技術を開発しており、この技術によってタイヤを100%リサイクルすることが可能になる。

さらにミシュランでは、バイオバタフライ・プロジェクトを主導しているフランスのアクセンスおよびIFPENとともに、石油由来ブタジエンに代わるバイオマスブタジエン製造に取り組む。この技術によって、木材、籾殻、葉、トウモロコシ茎葉などを原料に、年間420万㌧の木材チップがミシュランタイヤへとリサイクルされる可能性が見込まれている。

フランスの環境エネルギー管理庁であるADEMEと、ブラックサイクルおよびホワイトサイクルと連携し、循環型経済の推進をサポート。使用済みタイヤを高品質の原材料に変換し、新品タイヤの製造を行っている。