2023年1月10日

新年トップインタビュー
ゲイツ・ユニッタ・アジア

変化をチャンスに
市場に沿って新展開に臨む

【2022年を振り返って】
各地域とも市場は全般的に厳しさを増しており、業績は前期(2021年12月期)に対して2ケタ近い落ち込みとなった。国や地域ごとの現地通貨によって取り引きを行っており、実際の業績としてはおおむね想定範囲内にとどまったものの、為替の変動による影響を受けたことから、前期実績との格差が数字として広がった。地域ごとの状況としては、市況が冷え込んでいたASEAN諸国が回復基調にあり、特にインドが大きく盛り返した。自動車産業が伸びており、一般産業用も好調を維持している。中国においては、蘇州と上海に拠点を構えて事業を進めているが、中国政府によるロックダウンの影響を受け、特に上海拠点が約1カ月半にわたる工場閉鎖という憂き目にあった。第2四半期に大きなダメージを受け、前期後半の盛り返しに期待を掛けたものの痛手は残った。他の地域も市況の停滞感を漂わせており、インドの上昇基調は今後も継続するものと見ているが、自動車分野が主体であることから不透明感は払しょくしきれない。日本国内の状況としては、自動車分野が半導体不足による影響を受けたが、一般産業用については半導体製造装置の分野が活況であったことから上期において好調に推移した。下期に入ってからは減速感が漂い始めたものの、その一方で半導体不足が緩和傾向を見せ始めたことから、自動車分野が回復傾向をたどっている。韓国については引き続き厳しい状況が続いている。

【最近の課題とそれに対する対応は】
世界的に原油価格や原材料の高騰といった課題に悩まされており、地政学的な状況の変化も懸念材料となっている。原材料の高騰については落ち着いてきた印象も持ち始めているが、欧州においては高騰が続いており、収益圧迫要因としての厳しさが増している。また日本においても現在の事業環境においては、収益面は非常に厳しい局面に立たされている。収益を高めるためには需要の拡大が確実な方法ながら、現在の需要環境においては価格転嫁が最も現実的な選択となっている。市場における製品相場も上がってきており、全体の流れとしては、値上げ要請に対して耳を傾けてくれる素地が出来上がりつつあるように感じている。前期では、2度の値上げを実施した。

【自動車産業のEV化の流れについて】
日本市場においては、EV分野の取り組みに向けた新たな動きは見られないものの、海外では新しいアプリケーションが浮上している。開発途上国にとっては、EV市場の形成は今後の展望となるが、インドでは電動化に伴う二輪車向けの採用が進んでいる。市場は形成されてはいないものの、クリーンなイメージも付加価値として働いており、今後の動向に注目している。開発途上国においては、販売力を備えた現地のディーラーと手を組むなど、最適な体制を整えながら進めていく。

【今後の展望と市場展開について】
国内では、半導体製造装置分野、次いで工作機械産業が大きな需要業界となっている。今後、一般産業用において新たな用途開発を推進するというテーマが大きなカギを握っており、新たなアプリケーションの探索に力を注ぎ、新たな需要先とのつながりを強化することで、事業の拡大を図る。

中国の自動車産業についてはOEM(新車用)では、政府による助成金による後押しもあり、伸びていくものと見込んでいる。補修用の市場も大きく、ディーラーとの関係を強化し、対応していく。中国における自動車生産は、新車全体の75%を内燃機関搭載車が占めており、まだまだエンジン車両が主流である状況から事業規模は大きい。今後は、EVの比率が上がってくるものと見られているが、当社としては時勢や状況の変化によって生じるチャンスは決して逃さない。事業を取り巻く市場の変化に追随しながら新たな展開を繰り広げていく。