2023年1月10日

新年トップインタビュー
ニッタ

ポジティブに前進
多面的な施策で成長果たす

【2022年を振り返って】
今期の第2四半期(4―9月)の売上高は430億円となり、前年同期の実績を上回ったが、利益面については原材料や運送費の高騰などといった収益圧迫要因に見舞われたことで厳しい状況に立たされた。第3四半期以降も同様の事業環境が続いているが、売上高は当初計画値を上回っており、通期に向けてもこの流れを維持していきたい。下半期においては、原材料の高騰などといったコストアップ要因だけでなく、中国における自動車産業の落ち込みによる影響も加わるなど、逆風は強まっている。中国では、ゼロコロナ政策の緩和に乗り出したが、市況回復までには相応の時間を要するだろう。北米市場における落ち込みは軽微であったが、今年予定していた大手ECサイトにおける物流案件のプロジェクトが延期になるなど、マイナス要因も浮上していることから厳しさは増すものと見ているが、ポジティブ思考を失うことなく、常に前を見ながら頑張り続けていく。欧州については、社会全体の経済的展望に厳しいムードが漂っており、現状から今後の流れを読み取ることは困難な状況にある。中長期経営計画「SHIFT2030」の策定から既に経営環境が大きく変化しているため、今後業界や市場の需要環境、経済情勢、地政学的な要素を含めた状況を精査した上で、タイムリーにアクションプランを見直す必要がある。

【新たな取り組みについて】
新事業の育成においては、ナノ分散カーボンナノチューブを炭素繊維へ均一複合させるNamd(エヌアムド)関連の工場棟が今年5月より稼働を開始する予定。物流面では、千葉県白井市に物流・加工センターを建設し、関東圏の3カ所の倉庫を一カ所に集約する。統合効果だけでなく、倉庫機能の効率化と二次加工業務の拡大による強化を目指している。販売体制については、昨年1月に西日本の販売子会社2社を統合し、ニッタテクノソリューションズを発足させ、シナジー効果も引き出している。新事業の創出に向けては「新事業探索チーム」によってくみ上げられた情報の中から、事業化に向けて有効と見られる案件やテーマをピックアップし、事業化に向けた取り組みを進めていく。

今後の成長に向けては、グローバル展開の強化が不可欠だ。昨年カナダで世界9カ国の子会社の代表者が一堂に集結し、ベルト分野のワールドワイドミーティングを3年ぶりに開催した。工業資材事業部では、2014年にグローバルマーケティング部を組織し活動してきたが、多拠点間でのネットワークが構築され、ワンチームとしての士気が上がった。他の事業部門にも広げていきたい。

【グローバル事業展開について】
自動車向けのチューブやホースについては、メキシコで生産した製品を米国の需要に充ててきたが、今後はそれ以外の製品品目を増やすなど生産拠点としての位置付けを高めていきたい。またインドにおいても、クリーンルームの必要性が高まれば、空調設備の導入が不可欠となる。そこで当社の現地拠点において高性能フィルタ事業の拡販を図る。中国における事業展開は自動車産業の回復を待ちつつ今後のEV化への流れなどを慎重に見据えて多面的な取り組みによって成長を果たす。

【今後の展開と見通しについて】
海外事業における現況は、北米については好調さを維持しており、計画を上回る水準で推移している。今後についてもまだまだ成長する余地があると見ている。欧州は事業領域によって状況に濃淡が見られるものの、悪いというイメージは持っていない。中国については、第1四半期の市況において懸念する向きもあったが、自動車分野は厳しかったものの、ホース・チューブ事業など他の需要業界においては堅調に推移した。アジア地域も好調であったことから、海外市場は全般的に伸びる傾向にある。

サステナブルな事業展開が前提となるが、北海道に保有する森林資源の維持・保全による地球環境問題への貢献についてはもっと際立たせていきたいと考えている。SDGsについてもサステナブルな製品を展開しており、バイオマス原料を使用した製品の開発にも取り組んでいる。今後は情報発信も積極的に行っていく。