2023年1月15日

日精樹脂工業
プライベート展「環境ソリューションフェア」開催

75周年の記念事業
環境技術にスポット当てる

日精樹脂工業(依田穂積社長)は、昨年12月6~10日の5日間、長野県埴科郡坂城町の同本社においてプライベート展「NISSEI RED EXHIBITION in Nagano 環境ソリューションフェア」を開催した。新型コロナウイルス感染予防の目的から完全予約制を採用。万全の新型コロナ感染症対策を図った上での開催において期間中、総勢109社266人が来場した。今回のプライベートフェアは、同社創業75周年の記念事業としても位置付けられており、成形モールダーだけでなく、地元である長野県埴科郡坂城町の関係者や協力会社、金融機関などの取引先を招待、加えて近隣の小学生の社会科見学(昨年7月にSDGsに関する出前事業を実施しており、今回はその続編)にも協力した。

今回のプライベートフェアでは、環境技術にスポットを当て、〝Inclusive Growth(包括的かつ持続的な成長)〟をテーマに、①工場環境に対するアプローチ②地球環境に対するアプローチ③IoTで〝モノづくり〟をスマートに――をコンセプトとした3つのブース設け、最新の成形機・成形技術を紹介した。

「当社は従来より環境素材の普及に向けた取り組みを実施してきたが、今回の環境ソリューションフェアでは、それら自然環境への対応はもちろんのこと、ものづくりの現場である成形工場のさらなる高度化、底上げを図るお手伝いをするため、プラスチックの新しい価値を提案させて頂いた」(依田社長)。

工場環境に対するアプローチにおいては、ハイブリッド式の中大型機と竪型機の3台を出展し、同社独自の低圧成形システムを使用することで、成形設備のダウンサイジング、省スペース化が図られ、設置台数の増加による単位面積当たりの生産性を向上。さらには成形工場のコンパクト化を図ることによって設備費やランニングコストの低減、省エネ化などに貢献する選択肢として提案した。

地球環境に対するアプローチでは、環境対応素材の普及促進に向けて、植物由来で生分解性を備えたPLAやPHBV(海洋生分解性樹脂)などの利用技術、古紙などを原料としたパルプ射出成形、廃プラの有効利用のためのサンドイッチ成形技術を紹介。PLAの利用技術では、長野県産の間伐材・廃木材を有効利用した木粉入りのPLAコンポジット材料を自社で開発、会場ではこの材料を用い、カトラリー(スプーン、フォーク、ナイフのセット)の成形実演を行った。このコンポジット材料は、食品と接触する材料として日本と欧州の規則に適合、加えて耐熱性も備えている。着目すべき新技術としては、PLAを用いたインジェクションブロー成形(IBM)として、500㍉㍑ボトルの成形実演を実施。この成形法の実現に向けては、PLAのブローグレードを材料メーカーとともに新たに開発し、高額なブロー専用機を使用することなく、汎用の射出成形機とIBM専用の金型によってブロー製品を実現した。また、汎用トラバース取出機によるブローと同時に金型内でラベル貼りまでを行う〝インモールドラベリングシステム(IML)〟を装着して実演、PLAによるIBMとIMLを組み合わせた世界初の技術に、大きな注目が集まった。PLA製カトラリーとボトルの成形は、昨年ドイツで開催されたK2022でも実演された。

IoTで〝モノづくり〟をスマートにおいては、電気式の最新機種「NEX―Ⅴ」シリーズから搭載されている新コントローラ「TACT5」の機能として、成形機を軸にあらゆる周辺機器をネットワーク化し、単に〝見える〟〝つながる〟だけではなく、収集したデータを有効活用することによって、利用者の利益を創出するスマート成形工場の実現に向けた各種提案を行った。

実際に海外ユーザーの工場で発生した機械トラブルにおいて、リモート操作によるメンテナンス機能によって、客先のダウンタイムの低減や移動に伴うコスト・CO2排出を抑えられた事例などを紹介した。

来場者は、技術説明員からの説明に熱心に耳を傾け、数多くの質問を説明員に寄せるなど、見学後の手ごたえとしては、環境対応の最新技術をアピールすることができ、有意義なイベントとして催すことができた。また、来場者からは「自社での取り組みとして導入できるか検討を始めたい」などといった好意的な評価が数多く同社に寄せられている。