新年インタビュー
中部工業用ゴム製品卸商業組合
さらに勢いを増して進む年
魅力ある行事実施
【2022年を振り返って】
原材料は言うに及ばず、エネルギーコストや輸送費も高騰したことに加えて想定を上回る急激な円安は輸入物価の上昇を招くなど、ゴム業界においても非常に厳しい事業環境が継続した一年であった。そのような局面ではユーザーへの販売価格改定のお願いに終始したものの、経産省主導による値上げへの前向きな対応の要請が打ち出されているとは言え、お客様との交渉は決して簡単にまとまったわけではなかった。ただ現状においては、製品や需要分野ごとで若干の相違はあるものの、原材料やエネルギーコストの上昇分はおおむね価格転嫁を認めて頂ける方向で進んでいる。
一方、需要業界を見渡すと、中部地域の主力である自動車産業については半導体不足によって生産が大きく揺れたが、昨年前半での減産分をキャッチアップしようと増産計画が打ち出されていたものの、期待通りに生産がばん回したとは言い難かった。中国のゼロコロナ政策の影響によって半導体だけではなく、現地からの部品の輸入が滞り、車体組み立てに支障をきたすという実情もあったようだ。
景気の先行指標とされる工作機械においても前半は回復基調を維持していたものが、10~11月の受注は前年を割り込んでおり、若干の陰りが見える。年末では中国現地のコロナ規制も緩和されたことで、今後の回復が進むことを期待しているが、一方でそれに伴う爆発的な感染拡大も懸念事項であり、しばらくは経済の情勢も一進一退の状況が続くのではないかと見守っている。
【昨年の組合活動について】
コロナの感染状況は二転三転としていたものの、ワクチンの接種率も向上し、一時の危機感も和らいできたことから、昨年は通常の組合活動を実施していくことを念頭に進めてきた。昨年5月に開催した通常総会については、コロナ禍以降は書面決議によって実施していたが、久しぶりの対面形式で行い、総会後の懇親会も感染対策に留意した上で開くことができ、以前のような参加者相互の情報交換が実現できて良かったと感じている。
恒例のビジネスマナー研修や営業社員研修といった主要な教育事業も対面により開催したほか、ゴムの基礎を学ぶ勉強会では、今期から新たに導入した対面形式とオンライン形式の〝ハイブリッド〟で行い、会場は20名、オンラインは40名の多数の参加を得て盛大に開くことができた。ハイブリッド形式のセミナーは参加者が都合の良い参加方法を選択でき、特にオンラインでは移動の手間も省けるため、今後はこういった勉強会を増やしていく方向で検討を重ねている。
また9月には当組合が当番幹事を務め、約3年ぶりとなる全国ゴム商組連合会を名古屋市内の会場で開催した。コロナ禍によって長らく各地区の皆さんともお会いすることが叶わなかったので、各地域の現状を詳細に伺えたことで、とても有意義な会合となった。
【今後の活動について】
これまで自粛を余儀なくされてきた活動が、ようやく再開できるようになってきたので、引き続き今年も通常通りの開催で進めていく。ただし、実施方法についてはハイブリッド形式を活用するなど、ウィズコロナにおける新しい手法を取り入れ、参加者の健康・安全を確保できる形で開催していきたい。教育関連の行事については、会員が自社で行うことが難しいケースもあると思うので、ゴム・樹脂の勉強会や図面の見方のセミナーなど、各社の人材育成に貢献できる取り組みに一層力を入れる。
ほかにも働き方改革やインボイス制度への対応など、時代の変化に順応していくための相談窓口を税理士や、弁護士とタイアップしながら開設し、組合企業の経営の一助となる情報の発信に努めていきたい。また、他地区では実施している商品展示説明会も、商品知識の向上に役立つ有益な取り組みなので検討を重ねて実現できればと考えている。
【今後の課題と展望を】
現運営陣はベテランが中核を担っており、そろそろ世代交代の時期に差し掛かっている。若手に組合の活動や存在意義への理解を深めてもらうためには、次世代を担う経営者のメンバーが集い、互いを高め合っていけるような会合を立ち上げて新陳代謝を促進させていきたいと考えている。新規の会員の参加を得て活動をより活性化させていくためにも、参加メリットを感じて頂ける、一層魅力のある行事を実施して盛り上げていきたい。
昨年はコロナ禍からの脱却に向けて、ニューノーマルに適合しながら新たな第一歩を踏み出した年だった。今年もこの流れを止めることなく、さらに勢いを増して進む年にしたい。