2023年2月10日

ミシュラン
エアレスタイヤ実用化へ第一歩

シンガポールでDHL車両初運行

ミシュラン(フロラン・メネゴーCEO)は、DHL Eⅹpress(フランク・アペルCEO、以下、DHL)と提携し、先月10日、シンガポールにおいて新世代エアレスホイールテクノロジー「MICHELIN UPTIS Prototype(ミシュラン アプティス・プロトタイプ)」(以下、アプティス)を装着したDHL車両の初運行を実施した。今年末までにシンガポールで約50台のDHL車両がアプティスを装着し、ラストマイル配送(配送の最終拠点から顧客へ荷物を届けるまでの区間)を行う予定。ミシュランは2019年6月に、乗用車向けエアレスタイヤを24年に一般市場に投入することを発表をしていたが、今回のDHLとの提携によって予定より1年早くラストマイル配送市場で最初の一歩を踏み出す。

アプティスは〝Unique Puncture―proof Tire System〟の頭字語。アプティスは乗用車・ライトバン用のエアレスタイヤで、画期的な構造やハイテク材料およびホイールアセンブリーによってタイヤのパンクや、破裂などの運行上の大きなリスクを取り除くことができる。アプティスの使用により、空気圧補充や点検が不要となり、メンテナンスの負荷を大幅に軽減することが可能。また、車両のダウンタイムが最小化することで稼働率が向上し、事業の生産性の最大化が可能となる。

現在、世界中のタイヤの約20%がパンク、路上の障害物による損傷、偏摩耗を引き起こす不適正な空気圧などにより、寿命よりも早い段階で廃棄されていると言われている。ミシュランは、アプティスのエアレス技術により、年間最大2億本のタイヤまたは200万㌧の原材料の早期廃棄を防ぎ、環境保全に貢献できると予測している。

ミシュランのOEM事業ディレクター、ブルーノ・デ・フェラウディ氏は「ミシュランアプティス・プロトタイプは、タイヤの画期的なイノベーション。タイヤ構造とハイテク材料の約50件の特許で、より安全なモビリティと環境保全に貢献するミシュランの能力を実証した。DHLからの信頼を受け、予定より1年早くアプティスをフリートに装備できたことをうれしく思う」と述べ、シンガポールDHLのマネージングディレクター、クリストファー・オング氏は「ミシュランと提携し、グリーン物流のパイオニアとしてシンガポールの車両でエアレスタイヤを試せることに興奮している。両社のコラボレーションによるラストマイル配送のグリーン化は、DHLネットワーク全体でCO2排出量正味ゼロ達成に向けての新たなマイルストーンとなる」とコメントしている。