2023年2月25日

積水化成品工業
発泡スチロールのリサイクル強化

困難な魚函リサイクル技術を開発

積水化成品工業(柏原正人社長)は、環境・社会課題解決型事業への転換を掲げ、サーキュラーエコノミーを軸に据えた事業構造への変革に取り組んでいるが今回、マテリアルリサイクルの拡大に向けて、鮮魚などの臭気除去が困難であった魚函のリサイクル技術を確立し、「エスレンビーズRNW」の再生原料として量産化を開始した。

同社グループでは、創立以来培ってきた発泡・重合技術を進化、低炭素・循環型社会の実現を目指し、省エネルギーやリサイクルなど、環境と共生するモノづくりを展開してきた。物流容器や梱包材・断熱材として普及する発泡スチロールは、1970年代から業界全体でリサイクル活動に取り組み、国内リサイクル率は92%(21年実績)に到達。原料が単一のモノマテリアルであり、水平リサイクルに適した素材となっている。2000年代には、使用済みの家電梱包材や廃家電部材のマテリアルリサイクルを実現したエスレンビーズRNW(再生原料を使用した発泡ポリスチレンビーズ)を市場に投入。しかしながら、発泡スチロールの使用用途の約50%を占める魚函などといった食品関連材に関しては、特有の臭気除去のほかにも多くの課題があり、マテリアルリサイクルの用途が限定されている状況にあった。

同社は、魚函の臭気成分の特定と脱離の検討を進め、リサイクル技術と重合技術を融合させることによって、バージン原料を使用した発泡スチロールと比べて、同等性能での提供を実現。現在までに、魚函由来のエスレンビーズRNWは、再生原料比率を最大50%まで可能とした量産化技術を確立した。

まずは工業物流資材、建材、土木関連用途での採用を想定、さらに資源循環を強化する目的から、バージン原料の活用を極力抑えた発泡スチロールの水平リサイクル実現に向けた取り組みを追求していく。同社グループは、持続可能な社会の実現に向けて、従来注力している3R活動(Reduce、Reuse、Recycle)に、2R(Replace、Re―create)を加えたSKG―5Rを実践、50年カーボンニュートラル実現と、30年度サステナブル・スタープロダクト(環境貢献製品)売上高比率50%を目指している。

リサイクル原料を使用する素材の開発、特に水平リサイクルにはさまざまな課題があるが、廃棄物削減の観点から重要であると認識。これからも、保有する重合・発泡技術を進化させ、事業活動を通じた環境負荷低減の取り組みを行っていく。