2023年2月25日

西部ゴム商組
ハイブリッド形式で「勉強会」開催

ゴムとプラスチックの基礎で

西部工業用ゴム製品卸商業組合(小島孝彦理事長)は2月3日、大阪市北区の中央電気倶楽部大ホールにおいて「ゴムとプラスチックの基礎」をテーマとした勉強会を開催した。遠方の参加希望者を配慮し、ウェブ配信も並行実施するハイブリッド方式を採用。会場出席44人、ウェブを通じて59人が参加し、100人を超える規模の勉強会となって開催意義を高めた。

主催者を代表し、開会のあいさつに立った人材育成部会の矢島友雄部会長は「これまで3年間にわたって、皆さんのスキルアップに役立てる取り組みができない状況が続いていたが、ようやく実施できる状況になった。今回は新しい開催手法も手伝って、遠方からの参加者も多く、ウェブ出席の皆さんと一緒に学び、これからの日常の職務に役立ててほしい」と述べ、期待の気持ちを言葉に表した。

今回は、主に若手従業員を対象に、ゴムとプラスチックの基礎知識を学ぶ内容でプログラムが組まれ、ニシヤマの技術スタッフが講師として担当。ゴムの基礎に関しては同社営業技術部の大阪技術グループの梅﨑信征マネージャー、プラスチックの基礎に関しては同部技術グループの高橋航也氏が担当し、講義を行った。

ゴムの基礎の内容は、①ゴムとは?②ゴムの種類③ゴム製品の作り方④ゴム特性における選択指針⑤ゴム製品の試験方法の項目に沿って説明が行われ、聴講者はゴム製品を構成する材料の基礎知識について習得した。

講習に先立ち、同社の営業技術部長が今回の勉強会の企画について注釈。「ニシヤマとしては業界の皆さんの営業支援に力を注いでおり、2022年には東部工業用ゴム製品卸商業組合、中部工業用ゴム製品卸商業組合でも勉強会を実施させて頂いた。講師として檀上に立つ梅﨑マネージャーはドキュメンタリータッチ、高橋氏は学術的な語り口で解説を行う。話し口調とはいえ、内容だけでなく技術伝承における切り口の違いにも目を向けてほしい。明日は2月4日の立春であり、春の到来が告げられる日でもある。われわれとしては勉強会を通じて皆さんに福を届けられるよう精いっぱい努力させて頂きたい」と意気込みのほどを述べた。

勉強会では、最初に檀上に立った梅﨑マネージャーが「いろいろなシチュエーションにおいて使われている素材について、最低限必要な基礎知識について解説させて頂きたい」と前置き。ゴムの種類や歴史、特性、使われ方などについて説明した後、自らの経験について紹介。「新人のころ、機械設計の関係者にゴムとプラスチックの明確な違いについて教えてほしい」と頼まれた。「非常に困惑し悩み抜いた末、ガラス転移点という特性の違いが、ゴムとプラスチックという2つの物質に隔てている事実を学んだ」と解説。ガラス転移点を示す代表的な物質は高分子材料であり、分かりやすい事例を示すとゴムは冷却によって硬化し、伸縮性が失われることで破壊できるほど強度が下がる。それに対して樹脂は冷却に強く、こうした相転移点の違いが両者の壁となって隔たっており、ゴムと樹脂の違いとして認識されている」と述べ、基本知識の奥行の深さについて伝えた。

引き続き、樹脂について解説した高橋氏は「プラスチックは身近な存在で、さまざまな製品に使われているが、形状や用途によって作られ方(成形法)は違う」と述べ、製品の特性における適切な製法の選択法、用途ごとの利便性や優位性について紹介した。最近の状況について「プラスチックという材料は世相的に逆風にさらされているものの、現在でも生産量は世界的に伸びている。環境対応の観点から、コンビニなどにおいてプラスチック削減が積極的に行われているが、もはや社会にとってプラスチックの存在は不可欠であり、バイオマスプラスチックに代替されるような道筋を経て、プラスチックの存在は求め続けられるだろう。生分解性プラスチックも脚光を浴びており、マイクロプラスチックによる海洋汚染などの問題解決に向けて増え続けている」と強調。最後に「プラスチックの歴史はいまだわずか100年程度ではあるが、生活に根付いた材料であり、さまざまな工夫を凝らされながら使われ続けるだろう」と述べ、勉強会を締めくくった。