2023年3月15日

ブリヂストン
モータースポーツ活動発表会

60周年の節目迎え
サステナブル加え原点回帰

ブリヂストン(石橋秀一Global CEO)は3月10日、静岡県駿東郡の富士スピードウェイホテルにおいて、「2023年度ブリヂストンモータースポーツ活動発表会」を開催した。富士スピードウェイを眺望できる上、ホテル内に富士モータースポーツミュージアムを開設している同ホテルに会場を開設。発表会はオンラインも並行し、ハイブリッドスタイルによって行われた。モータータースポーツ活動開始から60周年の節目を迎えた同社が「10年後、20年後にも〝走るわくわく〟を提供し続ける」ための2023年度に同社が取り組むモータースポーツ活動計画について説明した。

発表会には、石橋Global CEO、同社執行役専務 技術・品質経営分掌の坂野真人Global CTOが出席。ゲストとしてTEAM IMPULの星野一義監督、レーシングドライバーの佐藤琢磨、佐々木雅弘の両選手が参加し、前年度のレースを振り返りながらトークショーを繰り広げたほか、ラウンドテーブルを囲んで交流会も行った。

最初にあいさつに立った石橋Global CEOは「当社はモータースポーツ活動の歩みを60年間にわたって進めてきたが、今後もタイヤメーカーとして挑戦を繰り広げてきた原点に立ち返り、改めてモータースポーツ活動の取り組みに力を注ぐ。モータースポーツの黎明期において、レースは蒸気やガソリンにおける今後の自動車の動力源としての可能性を模索する意味合いもあった。これまでの歴史に刻まれた取り組みがなければ、今のモータリゼーションは成立せず、モータースポーツの進化が今の時代を形作っていった。極限への挑戦の積み重ねの下、車体を支える重要なパーツとしてタイヤ開発を重視してきたことによってブリヂストンの進化も果たされてきた。モータースポーツを通じて培ってきた技術は、当社の製品の品質にも大きな効果を与えており、グローバルプレミアムブランドとしての位置付けにおける礎となっている。レースにおいて商品の品質を磨き上げ、グローバルプレミアムブランドとしての位置付けに達したことに大きな達成感を得ているが、モータースポーツのれい明期から100年を経て、モータリゼーションの変革に伴って、新しい時代が始まろうとしている。次世代を見据えたモノづくりが重要なテーマとなっており、サステナブルな要素を大きくとらえて原点回帰に立ち返る。リアルとデジタルを組み込んだ取り組みによってサステナブルなソリューションカンパニーとしてグローバルジャーニーに乗り出す。サステナブルな経営を極限に推し進めていくためにはサステナブルメーカーとして、極限の性能を追い求めるモータースポーツにサステナブルな要素を追求し、その結果を通して環境に対応した技術を一段と進化させいく。従来からの活動も継続させながら、サステナブルなモータースポーツの足元も支えていく」と、今後の取り組みに対する意気込みについて述べた。

続いて坂野Global CTOが〝極限の技術〟をテーマにプレゼンテーション。「モータースポーツタイヤの開発は、人材育成と技術を磨く取り組みが軸になると考えている。モータースポーツにおける極限の走りを通じて、タイヤも極限の環境にさらされる。モータースポーツで勝利をつかむためには、タイヤにおいてはゴムと接地を極めるということであり、そういった成果を生かして当社では〝断トツ〟商品を生み出してきた。新たな挑戦としてサステナブルの追求にも力を注ぐことで極限を目指す。その成果を市販用タイヤにフィードバックし、新たなプレミアムの創出を図っていく」と述べ、技術の方向性を示した。

トークショーが行われ、星野監督は「ブリヂストンさんは、レース前にタイヤのコンパウドの状態を指で確認しながら、われわれの意見を聞いて勝利に近付けてくれた。こういった関係性が大切であり、非常に大きな力となった」と感謝の気持ちを言葉に表した。

佐藤選手は「レースには〝パッション〟が大切で、勝利した瞬間を思い起こすと、このパッションは最高潮に達していることからもわかる。これまで非常に苦しい時もあったが、レースを続けることができたのは、このパッションと、レースを支えてもらえる環境があったからだと考えている。今年もタイヤを含めた環境に守られながら頑張っていく」と約束。ポテンザの開発ドライバーとしてもかかわっている佐々木選手は「ポテンザを履いて、ともに戦ってくれる仲間の存在は本当に大きいと感じている。ポテンザは一般にも買って頂けるタイヤであり、モータースポーツタイヤで培った経験によって品質を向上させ、ますます皆さんに喜んで頂けるよう頑張っていきたい」と、独自の立場から今期のレースに対する意気込みのほどを語っていた。