2023年3月30日

【ホース・チューブ・継手特集】
ニッタ

クリーンチューブを拡販
「LB70」さらに注力

ニッタの手掛けるホース・チューブ事業の2023年3月期第3四半期までの実績は、売上高は前年同期比3%増となった。一般産業用では半導体装置メーカーからのおう盛な受注が継続しており、高水準の販売を維持した。その他、建設機械・工作機械向けに関しても、顧客の生産が回復基調になった。一方、自動車向けについては半導体不足に起因する自動車メーカーの生産計画見直しの影響を受けて計画数値には及ばなかったものの、前年同期より実績は上回った。

ここ数年、大きな懸念事項となっている原材料、物流費、ユーティリティなど全般的なコストの高騰による影響については、一段とその深刻の度合いを増している。同社としては自助努力の限界を超えたことで昨年10月からホース・チューブ・継手製品の価格改定を3~8%の改定率で実施。顧客への丁寧な説明を行い値上げの浸透自体は進んでいるものの、依然としてコストアップ分をすべて吸収できている状況とは言い難く、今期第3四半期においても利益面では今なお大きな影響を受けている。同社では今後も、さらなる合理化に向けた生産性向上、歩留まりの向上等のコスト低減対策を講じながら安定供給に向けた適正な収益の確保に努めていく考え。

社会情勢的には昨年終盤ごろからコロナ禍以前の状況を取り戻そうとしている反面、日常の営業体制としてはウィズコロナにおける取り組みとして構築したウェブミーティングを活用した顧客とのコミュニケーションを図ることを継続。特に半導体、液晶、医療分野の得意先についてはいまだ工場内まで立ち入りが叶わないケースが多い。遠方のユーザーとはコミュニケーションが取りやすく効率的な反面、詳細な提案活動が行いにくいという側面もある。今後も従来通りの対面による営業とリモートによる取り組みを使い分け「ユーザーの要望に真しに向き合いながら製品開発につなげる営業活動を展開していくことで新規採用の拡大を図っていく」(同社ニッタ・ムアー事業部)。

今後の主力分野の需要動向としては、深耕の目標に掲げる半導体装置向けが来期上期に調整局面を迎えるが、下期に向けて回復が進むと同社では見通しており、クリーンチューブの拡販を目指していく。中でもクリーン帯電防止チューブ「ESチューブ」に注力する。また、グローバルにはアジアや北米での販売も各国の拠点と連携を図りながら拡販強化していく。

一方、建設機械、工作機械関連も顧客の部材調達の問題が解消していくことでこれまでに増して販売が伸びることを見込んでおり、引き続き樹脂ホース「LINEMATE」の拡販を目指すが、中でも超柔軟樹脂ホースとして展開している「LB70」にさらに注力する。同シリーズのカラーシリーズは、流体の識別および誤配管の防止に役立つことで受注と引き合いが増加。今後は建設機械向けなど、新たな需要先をターゲットにした製品開発も推進する。

そのほか、冷却配管、医療・バイオ分野用配管といった多岐にわたる液体移送分野での拡販を推し進めていく。