アシックス
4者で共同研究開始
歩容データ基に健康状態のスコア化など
アシックス(廣田康人社長CEO兼COO)とスマートシューズを開発・販売するORPHE(本社・東京都渋谷区、菊川裕也社長)、医薬品・化粧品・機能性食品などを製造販売するロート製薬(杉本雅史社長)、下北沢病院(所在地・東京都世田谷区、久道勝也理事長)は、歩行寿命延伸を目指し、歩容データを基に健康状態をスコア化する共同研究を開始することで合意した。
今回の共同研究では、ORPHEが備えたセンシング技術を用い、歩数や歩行スピード、ストライド(歩幅)、接地角度、立脚時間などの歩容(歩行パターン)データを収集、アシックススポーツ工学研究所が長年培ってきた足と歩容に関する独自の知見と、ロート製薬と下北沢病院が保有する臨床データ・医療データなどを組み合わせた分析を基に、健康状態をスコア化した「歩行健康度」のアルゴリズム構築を目指す。
アシックスでは既に、身体全体の歩行姿勢を年齢と性別に応じた基準で点数化できるシステムや歩容データを基に心身の状態をスコア化するアルゴリズムを開発。今回4者の知見を掛け合わせてアルゴリズムを深化させることによって、より多くの個人・企業・自治体・医療機関などに活用されるスコア化を目指す。
今後アシックスは、歩行健康度のアルゴリズム深化を起点とし、歩行寿命延伸による健康寿命延伸という社会的意義への貢献を目指すほか、医療分野での疾患予防、遠隔診断や遠隔指導、再生医療と組み合わせたリハビリ療法などにおける将来的な活用可能性も探りながら、4者の共同研究を推進していく。
アシックスでは、将来ありたい姿を長期的な視点で表した「VISION2030」の中で、〝アナリシスとダイアグノシス(分析と診断)〟の事業ドメイン強化を掲出。今回の共同研究もその一環で、同社が長年培ってきた知見とセンシング技術によって収集されるデータに基づいた分析診断を通して、一人ひとりの健康およびパフォーマンスの維持・向上のサポートを目指す。
ORPHEは、〝足元から世界を変える〟をミッションに掲げ、創業以来スマートシューズの研究開発を推進。提供するスマートシューズプラットフォーム「ORPHE」は靴内のセンサから歩容解析を行い、履いているだけで歩行速度、着地角度、着地衝撃といったさまざまな指標を記録することを可能とする。今後はこの技術を医療・ヘルスケア分野へ応用し、だれもが日常的に使う靴がインタフェースとなることによって、あらゆる人の健康寿命を延ばし、楽しく歩き続けられるような社会を実現していく。
ロート製薬は1899年に胃病蔓延という当時の健康課題から「胃活」を発売して創業。以来、健康を事業のコアバリューに据え、OTC医薬品やスキンケアを中心としたヘルス&ビューティー事業を軸に、機能性食品だけでなく一次産業やレストランなどの食事業、最先端のライフサイエンス研究を推進し、再生医療の領域にも事業を拡大している。健康、美、サイエンスに基づく高い品質〝一人ひとりが自律し、チャレンジを続ける企業文化〟といった事業的強みや文化的特徴をベースに、すべての個人や社会のWell―Beingへの貢献に力を注いでいる。
下北沢病院は「足病学」をテーマに掲げ、7年前にアジアで初めて足病に特化した「足と歩行の総合病院」としてスタート。米国においては、かねてより足病学という足という臓器に特化した学問があり、約1万5000人の足病医が足に関する診療に従事している。米国では足に関するトラブルが起こった際にはまず足病医に相談するのが一般的ながら、日本においては、このような専門科は存在せず、個々の判断によりさまざまな科に受診し、なかなか連携が取れていないのが現状。同病院では単に悪い患部を取り除くだけではなく、〝足から人生を支えていく。〟をコンセプトに、より根本的で包括的に未病にまでアプローチしていく体制を目指している。