2023年5月10日

【2023年3月期決算】
日本ゼオン

業績予想比を上回る
今期は需要回復、販売増へ

日本ゼオン(田中公章社長)は4月26日、オンラインによる「決算説明会」を開催した。それによると売上高は前期比7・4%増の3886億1400万円、営業利益は同38・8%減の271億7900万円、経常利益は同36・5%減の313億9300万円、当期純利益は同68・4%減の105億6900万円となった。同社徳山工場の生産設備などに関して、収益性の低下に伴い、投資額の回収が見込めないことから、帳簿価額を回収可能額まで減額、当期の第4四半期会計期間において減損損失116億円を特別損失として計上している。

部門別では、エラストマー素材事業部門の売上高は前期比10・8%増の2222億300万円、営業利益は同45・3%減の101億8400万円。同事業における営業利益の増減要因は、販売価格改定により250億円、為替差益で112億円の増益要因があったものの、原材料価格の影響・エネルギー価格高騰などにより357億円、出荷量減55億円、海上運賃上昇などによる35億円の収益圧迫要因が上回った。合成ゴム関連では半導体不足などにより、自動車生産台数が伸び悩む状況にあって、国内販売は底堅い需要に支えられ堅調に推移したが、合成ゴムの主力生産工場の定期修理に伴い出荷量を調整、輸出販売数量は前期の実績を下回った。一方、原料および燃料高騰分等の価格転嫁が進んだことから、全体の売上高、営業利益はともに前期実績を上回った。合成ラテックス関連では、期を通じて医療・衛生用手袋の流通在庫が過剰に推移、需給が大幅に緩んだことから、売上高、営業利益ともに伸び悩んだ。化成品関連では、為替円安の影響ならびに原料および燃料高騰分の価格転嫁を進めたことで、売上高は前期実績を上回ったが、期後半になって主用途である粘着テープの流通在庫が過剰になった影響を受けた。棚卸資産関連費用を計上したことなどもあって、営業利益は前期実績に及ばなかった。

高機能材料事業部門の売上高は同1・3%減の1053億5600万円、営業利益は同30・6%減の182億9600万円。同事業における営業利益の増減要因は、光学樹脂、化学品の販売価格改定により33億円、為替差益により27億円の増益要因があったものの光学フィルム、電池材料の出荷量減により66億円、原料価格影響・エネルギー価格高騰・棚卸資産関連費用などによる65億円、海上運賃上昇・新規開発費用増などによる9億円の収益圧迫要因を賄えなかった。高機能樹脂関連では、医療用途向けの需要は堅調に推移したものの、大型テレビ向け光学フィルムはパネルの流通在庫が過剰に推移した影響を受けた。電池材料関連では、中国経済低迷による需要落ち込みの影響を受けたが、売上高は前期実績を上回った。営業利益は、原料および燃料高騰の影響や新製品開発費用の増加などにより伸び悩んだ。化学品関連では、合成香料、特殊溶剤用途ともに需要が堅調に推移、加えて為替円安の影響ならびに原料および燃料高騰分の価格転嫁を進めたことにより売上高、営業利益ともに前期の実績を上回った。電子材料関連では、期後半になって半導体メーカーの稼働率低下が顕著となった影響を受け、売上高、営業利益ともに前期の実績に及ばなかった。トナー関連では、テレワーク特需が一巡し流通在庫が過剰に推移した影響を受け売上高、営業利益ともに前年同期の実績を下回った。

その他の事業部門の売上高は同12・9%増の652億7000万円、営業利益は同2・7%増の23億8100万円。子会社の商事部門等の売上高が前期の実績を上回った。

今期については、取り巻く環境がインフレと金融緩和政策の転換による金融不安、それを受けた金利環境や株式市場の変動および消費者の購買心理の変化等により、世界経済の動向における不確実性が上昇。依然として緊張状態にある米中関係の影響やロシアのウクライナ侵攻による影響などの継続が見込まれることから、引き続き不確実な状況が続くものと予想している。こうした環境の下、売上高を前期比2・7%増の3990億円、営業利益を同11・7%減の240億円、経常利益を同17・2%減の260億円、当期純利益を同79・8%増の190億円と見込んでいる。