2023年5月10日

【2023年3月期決算】
積水化成品工業

売上面は拡販等効果
収益はマイナス要因解消へ

積水化成品工業(柏原正人社長)は4月28日、大阪市北区の同大阪本社において「決算説明会」を開催した。当期の業績は売上高が前期比6・1%増の1246億8300万円、営業利益は同45・8%減の7億9300万円、経常利益は同49・7%減の7億400万円、当期純利益は4億5200万円(前期は59億1700万円の損失)となった。投資有価証券の一部売却に伴う特別利益16億3200万円が計上されている。

事業別の状況は、ヒューマンライフ分野の売上高は前期比6・2%増の526億200万円、セグメント利益は同23・4%減の25億8500万円。食領域においては、食品容器用途は人流が回復しつつあることから、観光関連や外食関連の弁当容器、テイクアウト容器などで復調の兆しがあるものの、内中食関連向けの需要はやや減少となった。しかしながら価格改定により、全体的には前年を上回る売り上げとなった。農産用途は、天候などの影響もありほぼ前年並みの出荷となったが、水産用途では、漁獲量の減少傾向が継続したことで伸び悩んだ。住環境・エネルギー領域においては、土木用途は工事物件の進ちょく遅れなどが影響したが、建材用途は堅調に推移。主力製品である発泡ポリスチレンシート「エスレンシート」の売り上げ数量は、テイクアウト容器用途の需要は堅調に推移。その一方で、スーパーなどの生鮮食品容器用途等には落ち着きが見られ、即席麺用途も減少となり、全体では前年並みとなった。発泡性ポリスチレンビーズ「エスレンビーズ」の売り上げ数量は、クッション用ビーズなどのライフグッズ用途が前年の需要増に対して落ち着きを見せ、水産分野および農産分野が低調となったことで、全体では伸び悩んだ。利益面では、期中における度重なる原料、副資材価格、エネルギーコストの高騰に対して、原価低減や固定費削減に取り組み、併せて販売価格への転嫁を実施したものの、市況低迷により販売数量が減少。積水化成品大分の火災事故対応などといった要因も収益を圧迫した。

インダストリー分野の売上高は同5・9%増の720億8100万円、セグメント損失は4億円(前期は17億7700万円のセグメント損失)となった。モビリティ領域において自動車部材用途では、上期での中国各地でのロックダウンや、世界各国での半導体をはじめとした部品不足による自動車メーカーにおける減産が影響。上期後半より回復基調に転じたものの、本格的な回復に至っていない状況にある。部品梱包材用途では、電動部品関連において上期は売り上げが大幅に伸長したものの、下期はそれらが一巡、ポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体の「ピオセラン」の販売は前年並みとなった。欧州のProseatグループは、固定費削減・生産集約等の改善を進めたものの、半導体などの部品不足やウクライナ情勢の影響により欧州自動車メーカーからの受注が引き続いて伸び悩み、エネルギーコストの大幅増なども影響、業績改善に時間を要し、赤字が継続している。エレクトロニクス領域においては、有機微粒子ポリマー「テクポリマー」の液晶パネル等における光拡散用途での需要は、在庫調整の影響により第2四半期以降大きく落ち込んだものの、第4四半期から緩やかながらも回復傾向。パネル搬送資材・梱包材用途における「ピオセラン」も、ロックダウンの影響や他素材との競争激化、液晶パネルの在庫調整などにより中国、台湾等における需要は伸び悩んだ。医療・健康領域においては、熱可塑性エラストマー発泡体「エラスティル」は、ランニングシューズのミッドソールに加え、他用途シューズへと展開が拡張。機能性高分子ゲル「テクノゲル(ST―gel)」も医療用電極用途など、テクポリマーも化粧品用途などにおいて売り上げが伸長した。利益面では、生産性向上や固定費削減に取り組んだものの、上半期の原料価格、エネルギーコストの高騰に対する価格転嫁においてタイムラグが生じたことなどにより、損失が生じた。

グローバル展開において同社グループでは、モビリティ、エレクトロニクスなどのインダストリー分野を中心としてグローバルに事業拡大を推進。モビリティ領域においては2050年カーボンニュートラルが全世界で進められる中、EVシフトがさらに加速すると見ており、高機能化に貢献する同社の発泡プラスチックス製品にとっては拡大の見込まれる市場になるものと想定している。

今期については、売上高が前期比4・3%増の1300億円、営業利益が同152・2%増の20億円、経常利益が同141・3%増の17億円、当期純利益は同21・5%増の5億5000万円を見込んでいる。