エボニックインダストリーズ
グローバル規模でアルコキシド事業強化
シンガポールに工場新設
エボニックインダストリーズ(以下、エボニック)はアジア市場に対応するため、東南アジアでアルコキシド製造工場の新設工事に着手したことを発表した。数十億円規模の投資を行い、同地域の顧客への供給安定性を高め、グローバル規模でアルコキシド事業の強化を図る。
同社は、主にバイオディーゼル製造や製薬・農業分野での合成に使用されるアルコキシド触媒の需要拡大に対応するため、製造能力の拡充に取り組んでいる。将来的にアルコキシド触媒はPETプラスチックのケミカルリサイクルにも使用され、循環型経済において大きな役割を果たすことが期待されている。
触媒部のシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるサンジーヴ・タネージャ氏は、「アジア太平洋地域はエボニックの触媒事業にとって主要な地域であるとともに、東南アジアはエボニックの成長において重要な役割を果たしている。またこの投資は、顧客満足度と供給の信頼性を高めるために『Think Global―Act Local(グローバルな視点で、地域に根ざした活動を行う)』という顧客中心のアプローチに取り組むエボニックの姿勢を、明確に示すことができた」と述べている。
今回の投資は、世界最大級のアルコキシドメーカーとしての地位を拡大するエボニックの戦略において、重要なステップと位置付けられている。アルコキシド製品ラインのグローバルヘッドを務めるアレクサンダー・ヴェーバー氏は「エボニックは既にヨーロッパ・北米・南米に主要な製造施設を有している。すべての関連市場に対して地域に根ざしたサービスの提供を行うグローバル供給ネットワークにおいて、アジアはこれまで欠けていた部分」と説明。
新プラントは、スコープ1および2の炭素排出量ゼロを目指す最先端技術を備えた近代的な施設で、シンガポール・ジュロン島にあるエボニックの拠点に設置される予定。アジア太平洋地域のアルコキシド事業ディレクターのフー・ソン氏は、「この戦略的な立地から、非常にダイナミックなアジア太平洋地域におけるアルコキシドの需要拡大や、『サステナブル・ジュロン島』計画に対応し、お客様のカーボンフットプリントの削減をサポートする」と述べている。
本プロジェクトは、アルコキシド製造工場のコンセプト・基本設計を経て、現在は建設段階に入っており、年間生産能力は10万㌧、操業開始は2024年末に予定されている。
同社は、グローバルなアルコキシド供給ネットワークを有しており、アルゼンチンのロサリオ、米国のモービル、ドイツのリュルスドルフなど、世界中に製造拠点を構えている。