2023年5月20日

バルカー
新クラウドサービス「MONiPLAT」

「H&S企業」への進化の一環

工業用シール製品およびふっ素樹脂加工製品のリーディングカンパニーであるバルカー(瀧澤利一会長CEO)は、製造設備の定期点検や状態監視をスマホやタブレットなどで一元管理できるクラウドサービス「MONiPLAT(モニプラット)」の提供を4月25日から開始した(本紙既報)。同社では製品リリース前日である4月24日、本社(東京都品川区)においてメディア向けの発表会を開催。当日は中澤剛太副社長CDO、瀧澤利治専務執行役員H&S事業本部本部長のほか、共創パートナーであるAIスタートアップのリッジアイから小松平佳取締役が会見に臨み、同社が新たに手掛けるSaaSの取り組みと、リッジアイとのオープンイノベーションについての説明を行った。

シール材のパイオニアである同社では、これまでプラント、半導体、各種の産業機器市場など幅広い分野において、ガス・液体などの漏えいを防ぐ製品を供給して事業者の安全操業を支え続けてきた。その中で、近年では生産現場の安全管理を効率的・一体的に実現したいというニーズが顕在化。同社ではこれを受けて現在、〝安心・安全〟をAIテクノロジーによってスマート化するDXサービスの拡充を推進しており、製造業へのトータルソリューションを提供する「H&S企業(製品にサービスを付加)」への進化の一環として今回、モニプラットのリリースに至った。

製造業の設備点検は定期点検として一定期間ごとにメンテナンスを行うTBM(Time Based Maintenance)が主流。しかしながら、いったん紙に点検した数値を記入してそれをエクセルに入力・印刷し、管理者の確認を経て承認。その後それをファイル保管するといったアナログな管理が多いため非効率なのが実情である。一方、昨今のデジタル技術の進ちょくに伴い、設備の状態をリアルタイムで把握するCBM(Condition Based Maintenance)への移行も徐々に進んではいるものの、さまざまなソリューションが現存する中で複数のサービスを使用し、記録・確認作業が煩雑となって安全管理の効率・確実性が低下するリスクもはらんでいる。これらの課題を解決するために開発されたモニプラットにおいては、「スマホオリエンテッドで導入しやすいことを主眼に取り組んできた。初期費用が不要の月額サブスクリプションサービスとなっており、まずは気軽にトライできる。機能面の主な特長としては、スマホアプリを使用して現場の点検結果や写真をアップロードすれば自動的に報告書が作成される。設備の点検スケジュールもカレンダーで一括管理が可能で、定量的な点検結果を自動でグラフ化し、異常傾向の見逃しを防止できる。そのほかCBMソリューションをTBMと同一画面で一元的に管理でき、TBMでは20設備まで無料。さらにアカウント数も無制限で組織全体での利用が可能なのでぜひ試してみて頂ければと思う」(中澤副社長)。

CBM(状態管理)サービスについては真空ポンプ、送風機、タービン、ボイラーなどの管理に適する「VHERME(ベルム)」をはじめ、建設機械向けの「SealMote(シールモート)」、タイヤ加硫機、ゴム練りミキサー、ダイカストマシンといった各種産業機械向けの「VALVESTA(バルベスタ)」をラインアップ。ベルムは振動の遠隔監視を行い、設備の異常を事前に把握できるサービスで、シールモートとバルベスタは作動油のセンシングによってパッキンの交換時期を検知できるサービスとなっている。人手不足が叫ばれて久しい製造の現場。同社が提案する新たな設備点検プラットホームでは、点検データを一つに集約してスマホで管理することで人的稼働の削減と生産性・安全性のさらなる向上が期待できる。

同社では今後もモニプラットに付帯するAIテクノロジーを駆使した保全・管理サービスをはじめ、製造業のスマート保全の実現に貢献するDXサービス事業の拡充に一層注力していく考え。