2023年7月20日

バルカー
管理システムを開発

勘から見える化へ
センサーで締付け圧を管理

バルカー(瀧澤利一会長CEO)は、シール材の一種であるガスケットを締結する際にガスケットに埋め込んだセンサーで締付け圧を管理できるシステムを開発した。これは産業技術総合研究所(石村和彦理事長、以下、産総研)と2019年5月に共同で立ち上げた「バルカー産総研 先端機能材料開発連携研究ラボ」の研究成果の一つ。

危険物、高圧ガスを取り扱う石油精製・石油化学プラントにおいて安全操業は使命であり、事故を防ぐためには定期的に装置を停止し、各種点検、保全工事を実施することが不可欠。従来はそれらの作業は作業員が器具を使って締結していたが、正しく締付けられたかどうかは、熟練工の勘に頼っていたところが大きく、昨今の製造現場における人員不足やプラントの老朽化などから工事の難易度が上がり、事故リスクを抱えている締結部位が数多く存在していると言われている。またプラントは、いったん漏えいが起こると停止する必要があり、このような稼働率(生産性)低下による経済的損失は、数十億円とも言われている。

バルカーは、これまで勘に頼っていたガスケットの締付けにおける力加減の見える化に成功した。具体的にはガスケットのかたわらにセンサーを設置し、プログラムと連動させることで、締結状態にあるガスケットにかかる面圧を直接モニタリングできるシステムとなっており、このようなコンセプトは世界初となる。

既に国内大手プラント会社に対して同システムのコンセプトが伝えられており、各社から好評を得ている。今後は試作品を用いて、フィールドテストを重ねながらブラッシュアップを行い、経済的損失を大幅に低減できるサービスの一つとして商品化を予定している。将来的にはプラント操業中の締結状態を監視できるシステムの実用化を目指し、さらに研究を進め、既に今年リリースされている設備管理プラットフォーム「MONiPLAT」や、プラントの定修工事・検査を支援するクラウドプラットフォーム「VALQUA SPM」との連携も検討されている。

バルカーでは製造現場における安心・安全を、AIテクノロジーを駆使してスマート化するDXサービスの拡充に注力しており、製品(Hard)にサービス(Seal Engineering Serⅴice)を加えて顧客価値を創造する企業、すなわち『H&S企業』へ脱皮し、『安全を漏らすな。』をスローガンに掲げ、社会をさらに良い方向に変えていくことを目指している。今後も顧客課題を解決するさまざまなサービスを展開することによってプラントの安全操業、効率化に貢献していく。