2023年8月5日

三井化学
廃プラ分解油によるケミカルリサイクル

製品の製販を開始
国内初のマスバランス方式

【クラッカー関連のフロー図】

三井化学(橋本修社長)は、サーキュラーエコノミーの実現に向け、廃プラスチックを原料とした熱分解油(以下、廃プラ分解油)をCFP(本社・広島県福山市、福田奈美絵社長)より調達し、2023年度第4四半期に大阪工場のクラッカーに原料として投入、国内初となるマスバランス方式によるケミカルリサイクル由来の誘導品(化学品・プラスチック)の製造・マーケティングを開始する。バイオマスナフサ誘導品と同様、各誘導品におけるケミカルリサイクル製品の展開を今後も継続的に推進していく。

近年、国内外でプラスチックリサイクルの重要性や社会的ニーズが高まっている状況にあって、三井化学はサーキュラーエコノミーの実現に向け、マテリアルリサイクルやモノマテリアル化によるリサイクル性向上、ブロックチェーンによるリサイクル製品のトレーサビリティ強化など、素材だけでなく仕組みづくりも視野に入れたリサイクルの取り組みを推進。今回のケミカルリサイクルへの取り組みによって、これまで品質や衛生面からリサイクル品を使用することが困難であった用途においてもリサイクル由来の素材を適用することが可能となり、これまで低かったプラスチックのリサイクル率を大きく向上させる可能性がある。

今回の案件は、廃棄されたプラスチックを資源ととらえ再利用する「RePLAYER(リプレイヤー)」のコンセプトの一環として展開。リプレイヤーは、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー社会の実現に向け、バリューチェーンを通してグループ横断的なソリューション提案を進める三井化学が立ち上げたブランドの一つで、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、廃プラ等の廃棄物を資源として有効活用するリサイクルを推進する。今回の取り組みは、21年12月から投入が開始されたバイオマスナフサと同様、〝素材の素材から変えていく〟取り組みであり、三井化学は、バイオマスやリサイクルによるサステナブル原料への転換、アンモニア燃料化などの燃料転換、地域連携による共創を通じて、クラッカーのトランスフォーメーションによるコンビナートのサステナブル化を目指していく。

廃プラ分解油は、石油由来ナフサやバイオマスナフサと同様に炭化水素油であり、それらをクラッカーに投入することによって、三井化学ではエチレン、プロピレン、C4・C5留分、ベンゼンといった基礎原料を製造。得られた同等の基礎原料を基にフェノールなどの基礎化学品、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン類を製造する目的から、誘導品(化学品やポリマー)の物性は既存品(バージン品)と全く同等のものとなる。

マスバランス方式は、原料から製品への加工・流通工程において、バイオマス由来原料やリサイクル由来原料などといった特性を持った原料がそうでない石油由来原料などといった原料と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法。バイオマス・リサイクル社会の実現に向けて、マスバランス方式は重要な役割を果たすものと考えられている。

今後、三井化学は認証制度として欧州で広く採用されているISCC Circular認証を取得、マスバランス方式によるケミカルリサイクル製品を市場展開していく予定。