2023年9月30日

アイシン高丘
植物由来バイオ成型炭へ燃料置換

アイシングループのアイシン高丘(所在地・愛知県豊田市、内田信隆社長)は、2050年のカーボンニュートラルに対する挑戦に向け、鋳鉄部品の溶解工程で使用している鋳鉄鋳物製造に用いている直立型の鋳鉄溶解炉でキュポラ燃料として使用している石炭由来のコークスを、植物由来のバイオ成型炭へ燃料置換する取り組みを本格化する。

アイシン高丘では現在、約21万㌧のCO2を排出。その内訳は、鋳鉄を溶解する工程からの排出が約60%を占めており、カーボンニュートラルに向けた技術革新が必須とされている現状において、石炭由来のコークスを燃料としているキュポラへの対応が急務となっていた。キュポラの燃料となるコークスは使用時のみではなく、原料炭採掘、生成過程においてもCO2を排出、生産量についても減少傾向にあり、将来的な安定調達に向けての懸念も浮上していた。これら状況への対応策の一つとして、他エネルギーへの置換の検討を開始、食品廃棄物のヤシ殻で製造したバイオ成型炭を世界で初めて開発し、キュポラ操業への影響ならびに製品への影響について実証評価を繰り返し行ってきた。結果として、石炭由来コークスの代替燃料として置換できることを確認。今回の実証では、冷間強度や発熱量、熱間反応性などの特性や製造条件をはじめとする技術データを蓄積し、キュポラ用途に適したバイオ成型炭の実用化を目指している。バイオ成型炭の開発は、コークスを使用するキュポラ溶解の課題であったCO2排出量削減に向けて大きく期待されるだけでなく、廃棄物として捨てられているヤシ殻を有効活用することによって廃棄物の発生量を削減。環境対策効果も期待されている。現在のところ、置換率50%の実証評価は完了、25年度中の量産開始が予定されており、今後は連続操業を繰り返しながら、さらなる置換率の向上を目指す。生産面では、35年の生産カーボンニュートラル達成を目標に掲げている。